プロ野球ドラフト会議が25日行われ、日本文理の鈴木裕太投手(3年)がヤクルトに6位で指名された。同校からは史上6人目の指名選手で、ヤクルトの指名は99年6位の本間忠投手以来になる。鈴木は中日1位の大阪桐蔭・根尾昂遊撃手(3年)ロッテ1位の藤原恭大外野手(3年)を「対戦したい」と名指し。プロ入りの決意を見せた。

ポーカーフェースの鈴木がはにかんだ。同校で行われた指名会見で大井道夫総監督(77)鈴木崇監督(38)から「おめでとう」と祝福されると、喜びを隠し切れなかった。

この日はいつも通りに練習をした。午後4時からランニング、キャッチボールで体を動かし、午後5時に切り上げた。制服に着替え、校舎4階の多目的教室で3年生部員24人とともに指名を待った。インターネットの速報サイトで気持ちを高ぶらせながら、名前が呼ばれる瞬間を待った。

ヤクルトは「行きたい球団だった」。OBで外部コーチを務める本間忠氏(41)が在籍した球団。入学時からマンツーマンで投球の手ほどきを受けた“恩師”が在籍していた球団に親近感を持っていた。

指名の喜びと同時にすぐにターゲットを定めた。「大阪桐蔭の選手、根尾君、藤原君と対戦したいです」。今春県大会の準々決勝、上越戦で県内高校生初の球速150キロをマークした。だが夏県大会は4回戦で新潟に敗れた。甲子園で春夏連覇の王者と対戦する機会はなかった。今夏の甲子園のテレビ中継はいっさい見なかった。それも「プロ入りが決まったら大阪桐蔭勢をライバル視する」と決めていたからだ。

高校での球速の目標は155キロだった。それはプロへ持ち越しになった。「プロで速球で勝負したい」と堂々と宣言。大井総監督が「うち歴代の投手の中で最も素質がある」、鈴木監督が「まだまだ伸びる」と期待する大器。プロで活躍する道を自らの剛腕で切り開く。【斎藤慎一郎】