<SMBC日本シリーズ2018:広島2-2ソフトバンク>◇第1戦◇27日◇マツダスタジアム

34年ぶりの日本一を目指す広島か、2年連続のソフトバンクか。平成最後の日本シリーズは、69年の歴史の中で、初顔合わせ同士の対戦になった。クライマックスシリーズ(CS)に続き、両チームの話題などを「日本S 広島の陣」と題して、探ります。

25日に行われたプロ野球ドラフト会議では、史上最多となる11球団の1位指名が高校生野手に集中した。能力の高い高校生を育てて勝つことが球界のトレンドになる中、日本最高峰の戦いとなる日本シリーズ初戦の高卒スタメン野手は、ソフトバンク6人(上林、明石、中村晃、内川、西田、甲斐)、広島4人(丸、鈴木、会沢、安部)だった。

広島が1回に先制した直後、千葉経大付出身の3番丸が四球を選び、二松学舎大付(東東京)出身の4番鈴木が右前打でつないで2点目を呼び込んだ。ともに高卒のたたき上げ。近年の「育てて勝つ」トレンドの代名詞のような存在だ。

2人とも高校時代は投手だったが、今季39本塁打、97打点の丸は日本ハム斎藤をまねた軸足を曲げる投球フォームが話題のエースだった。斎藤の早大入学直後で時代は“佑ちゃんフィーバー”真っただ中。スカウト歴42年の広島苑田スカウト統括部長は「肩が強くて足も速い。何よりタイミングの取り方がうまかった。打者で見に来たと言ったら驚いた顔されました」と懐かしむ。07年高校生ドラフト3巡目で指名。今は始動時にグリップの位置を下げる「ヒッチ」の動きで間合いをはかり、同スカウトは「イチローも青木も、いいバッターはタイミング」と、能力の高い選手を厳しい練習で鍛え上げてきた。

ソフトバンクも丸と同じ07年高校生ドラフト3巡目の中村晃がチームの中軸に育つ。ともに高卒野手を重視する中、日本シリーズ“前哨戦”となった4球団競合の報徳学園・小園のクジ引きは広島が勝利した。00年以降、両チームの“直接対決”は16年に5球団競合したソフトバンク田中正以来で、対戦成績は1勝1敗。運は五分の戦いは、試合も延長12回引き分けでスタートした。【前田祐輔】