1年目を終えた広島ドラフト1位ルーキーの中村奨成捕手(19)が、来季の巻き返しを誓った。12日、広島・廿日市市の大野練習場で契約更改。現状維持の推定年俸800万円でサインした。2軍の出場83試合で納得できる成績を残せなかった今季を悔しそうに振り返り、守備面の強化を図って来季の1軍デビューを見据えた。

中村奨のプロ初の契約更改は、わずか10分ほどで終わった。交渉の席では今季出た課題と来季への取り組みを球団幹部と話した。壁にぶつかりながら、必死にもがいた1年目だった。

「初めて契約更改をして1年間早かったなという印象。通用しない部分の方が多かった。2軍でもいい結果を残せなかった。特に打撃の部分。悔しいですね。来年は1回でもいいから1軍に上がれるようにと言ってもらった」

打撃では打率2割1厘、4本塁打、16打点。夏の甲子園で個人最多6本塁打をマークした黄金ルーキーも、プロの世界で力不足を感じたという。それでも守備面では収穫は大きかった。

「春先に比べて8月や9月あたりから盗塁を刺せるようになった。シーズン初めは球のふらつきも目立ったし、パスボールも多かった。1年目から多く試合に出させてもらって、体に身についてきた実感がある。2年目、3年目くらいまでは守備をしっかりして、信頼される捕手になりたい」

盗塁は56度の企図のうち19度刺した。阻止率3割3分9厘はウエスタン・リーグ3位。中日加藤、ソフトバンク谷川原に次ぐ数字だった。更改の席では阻止率を上げていけばチャンスは出てくるとの話も出た。今季の1軍捕手陣の盗塁阻止率1割9分2厘は12球団ワースト。強肩が1軍枠争いに割って入るアピール材料になりそうだ。

中村奨は日本シリーズMVPのソフトバンク甲斐に「お手本になるスローイング。見ていて悔しい気持ちも出てきた。ああいう毎回刺せる捕手になりたい」と刺激を受けた。3連覇を達成した1軍メンバーについては「遠い存在。その輪の中に入りたい」と早く1軍レベルに到達したいと意気込む。今後は線の細さを解消すべく6~8キロの増量に取り組むプランもある。「オフをいいものにして、巻き返せるようにやっていきたい」と誓った。【大池和幸】