東日本国際大(東北3連盟・福島)の2本柱、エース右腕・船迫大雅(4年=聖光学院)と西武ドラフト4位右腕・粟津凱士(4年=山本学園)が初戦で散った。近大(関西5連盟第1代表)に0-1と惜敗。先発の船迫が6回途中4安打1失点の好投を見せ、2番手左腕・佐々木大輔(2年=山村学園)も1安打無失点。打線が封じられて惜敗も、「エース引き継ぎリレー」は来季以降の期待を膨らませた。

9回表、2死一塁。船迫は、互いに高め合ってきた粟津と一塁側ベンチ最前列で体を寄せ合った。僚友に「ここで打てなかったら引退だな。どうにか打ってほしいな」とポツリ。打席に立つ仲間への声も1段階大きくなったが、空振り三振で試合終了。粟津の左肩を軽くたたきながら整列。自身はプロ志望届を提出も指名されなかっただけに「全国の舞台でこれまでに結果を出せなかったことと、ドラフトの悔しさ。この2つを晴らしたいと思ってマウンドに立ったが、100%満足ではない。まだまだ神宮、東京にみんなといたかった」。涙をこらえるかのように、下唇をかんだ。

エースとしての存在感は、しっかり示した。初回に連打で1失点は「東北地区代表戦やリーグ戦は遊び心があったが、真剣になりすぎちゃった」と反省。切れ味鋭い直球とスライダーを内外角に投げ分け、2回以降は4回連続3者凡退。「144キロの最速は140キロ台後半にして、もっと三振をとれる投手になりたい」と社会人野球で自身を磨く。2年後は再びプロ入りを狙う。「成長してプロの1軍で粟津と投げ合いたい。『最後に2年の野球人生しかない』というつもりで過ごしたい」。決意を、さらに固くした。

6回2死一塁で登板した佐々木も、船迫の思いを引き継いだ。大学日本代表の相手打者に対し、内角直球でバットをへし折り、一ゴロで危機を脱した。8回の最後も同打者から空振り三振を奪い、ほえた。「向かっていく気持ちで投げられた。これからは必ず、接戦になる全国を常に意識してレベルアップしたい」。約20球しか投げていなかった試合前のブルペンは、船迫が汗だくになるまで投じる姿を見て取り入れた。オフの過ごし方も学んだ。この日の姿も最後の教えとして心に刻んだ。

船迫も「(佐々木)大輔はもっと成長できると思うし、他の後輩投手も伸びてこないと苦しくなる。自分と粟津みたいに競い合ってほしい」と願った。船迫も粟津も佐々木も、「スミ1」の悔しい敗戦を未来につなげる。【鎌田直秀】