BCリーグ福島は9日、郡山市内で新入団選手発表会見を行い、15選手がファンの前でお披露目された。昨年は運営会社の経理トラブルなどで存続も危ぶまれたが、岩村明憲監督(40)が社長を務める新運営会社を発足。チーム名もホープスからレッドホープスに変更し、再出発した。

福島県出身選手も決意を新たにした。いわき市出身の古長拓内野手(こちょう・たく=24)は、小6時に小名浜少年野球教室で全国準V。泉中から九州国際大付(福岡)に進学し、震災年のセンバツで準優勝した。九州共立大からNTT東北マークスを経て地元に。昨年、今年と2年連続でソフトバンク今宮健太内野手(27)らと自主トレを行い、「野球を長くやりたいなら死ぬ気でやれ」とゲキを飛ばされた。「震災の大変さは分かっている。野球ができる喜びは誰よりも感じている。今年が勝負」と、恩返しのNPB入りを誓う。

富岡町出身の畠山侑也内野手(22)は震災でいわき市に引っ越し、いわき光洋から千葉経大を経て入団した。津波で相双中央シニア時代のコーチを失い、友人の家も流された。「生きていることが当たり前じゃない。野球ができるありがたみを感じる」。岩村監督からも「福島のためにも頑張れ。それがNPBにもつながる」と声をかけられ、「自分のプレーで少しでも元気になってもらえたら」と燃えている。11日には静岡・富士市でキャンプイン。岩村監督は「福島にとって特別な日にリスタートできるのは、運命めいたものがある。黙とうから入ります」。熱い思いを胸に秘め、新たな戦いに挑む。【野上伸悟】

○…女子野球の普及を目指し、福島県内初の女子硬式クラブ「ふくしまヴィーナス」との傘下締結も発表された。岩村社長は「野球やソフトボールをやってきた女の子が、高校で県外に出なくてもいいよう、受け皿になりたい」と話した。寺島真奈美監督は「今までは細々と活動してきた。これからは広く知ってもらえたら」と笑顔だった。