4年ぶりに復帰した巨人原辰徳監督(60)が、第3次政権初勝利を飾った。

公式戦勝利は15年10月4日のヤクルト戦以来、1273日ぶり。3連覇中の広島に対して、開幕スタメンから外したアレックス・ゲレーロ外野手(32)を「6番左翼」で初先発させると、助っ人が3安打4打点と大活躍。8回は2番坂本勇人内野手(30)の2年ぶりとなる犠打を5点目につなげ、鬼門のマツダスタジアムで1勝1敗の五分に戻した。

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2点リードの9回無死一、二塁、原監督は攻撃的新打線の象徴だった「2番坂本勇」に犠打のサインを出した。坂本勇、丸と続くオーダーは「初回から2点取りにいく。3番打者が2人いる」と言う強力布陣。1回無死一塁の場面で犠打はないと公言するが、勝利がかかった試合終盤では別。「私の中では最善策。ゲームを支配する、勝つということですね」。主将の2年ぶり犠打でチャンスを広げると、内野ゴロの間に試合を決定づける5点目を奪った。

勝利をたぐり寄せるために、自ら積極的に動いた。開幕戦から6番ゲレーロ、7番中島と2人を入れ替え、新オーダーを組んだ。ゲレーロは4回に今季のチーム初得点となる2点適時二塁打を放つと、6回には広島を突き放す2点中前適時打。オフ期間からメールで連絡を取り、頭のぶれないフォーム変更のアプローチを続けた助っ人の活躍に「非常にいい場面で打ってくれた。価値ある4打点でしたね」。5回無死の場面では前回監督時にはなかったリクエストに初チャレンジ。セーフ判定だった内野ゴロをアウトにひっくり返し「すごく大きなプレーだった」と、広島に傾きかけた流れを呼び戻した。

還暦を迎え、3度目の監督就任。WBC世界一を含む監督12年間で築いた実績は「すべて捨てる。ゼロからのスタート」と決めた。若い選手と対話し、向き合いながら徹底した実力至上主義を取り入れ、調整が遅れたメジャー20本塁打の新外国人ビヤヌエバは開幕1軍から外した。選手のコンディション、力を正当に評価することが「チームの和をつくる」と貫く。

4年ぶりの勝利後、雨上がりの敵地マツダスタジアムには虹がかかった。「1勝目のような感じがしますね。何勝かしているというのは覚えてない。初勝利だ。バンザイ!」と笑った。監督通算948勝目。川上哲治氏(1066勝)、長嶋茂雄氏(1034勝)に次ぐ球団史上3人目の1000勝も迫る中、過去は捨て、今と向き合い歩みを進めていく。【前田祐輔】