日刊スポーツ「編成部長」として全国の高校球児をチェックしてきたサブロー氏(42)が、初めて大学生を視察した。今秋ドラフト1位候補の最速153キロ右腕、明大・森下暢仁投手(4年=大分商)の楽天岸を想起させるカーブを評価。「タレ型」の直球特性も磨き、世界の潮流であるグラウンドボール・ピッチャーを目指すべきと提言した。

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森下のブレーキの掛かったカーブを見て、岸をイメージした。腕を振って投げると、あとから遅れて背中ごしにボールが来る印象。いい時は手がつけられなかった。私はカーブ打ちに自信があったが、頭のはるか上の高さまで浮き上がり、打ちに行ったらワンバウンドしたほど落差があった。

打とうとしても技術的に厄介だし、いつ来るか、打者を考えさせるだけで心理戦で優位に立てる。日本でもメジャーでも見直されてきているが、もっと投げるべき球種だし、カーブ全盛時代が来るとずっと思っている。森下はこの日は少し抜けていたが、組み立てもできるし、勝負球にもなれるぐらいカーブを軸にできる数少ない投手になれる。

チェンジアップも抜けが良く、レベルの高い投手で三振も奪えるだろうが、ゴロアウトを取れるスタイルを目指すべきだろう。速球はスピン量が多く、浮き上がるような球の「ホップ型」と伸びずに落ちて見える「タレ型」に分けられるが、森下はタレ型。28人の打者に対し、11個のゴロ系の打球が物語っている。打者はボールの上っ面を打つケースが増え、長打が出にくい。

投手としては直球で空振りを奪いたくなるのがさがだが、自分の球質を知ることは大事だ。フライボール革命が起きている中で、メジャーではパワータイプの投手のタレ型が重宝されている。ゴロの確率が高まれば、長打の可能性は減る。ゴロアウトの方が球数も減る。グラウンドボール・ピッチャーは今の時代にマッチする。

直球の質はもっと磨かなければいけない。150キロが出ても、力む分シュート回転することが多かった。点差が開いて力まずに投げていた、140キロ前半の方がいい球だった。プロは一定の速球には対応してくる。どうゴロを打たせるか、タレ型を追求してほしい。