力を抜いて鬼門突破だ。矢野阪神は21日から、甲子園6連敗阻止とAクラス死守をかけて同率3位のヤクルトと戦う。

勝率は5割ながら、甲子園では貧打が顕著で5連敗&借金5と苦手状態が続く。要因について浜中治打撃コーチ(40)は「甲子園だと力んでいる感じ」と指摘。好成績を残す東京ドームや横浜、神宮など狭い球場では力まず猛威を振るっている打者心理に立ち返り、逆襲を期した。

   ◇   ◇   ◇

「甲子園の呪縛」を解き放ってこそ、上位進出の道は開ける。矢野阪神が5連敗中の本拠地で踏ん張りどころを迎えている。先週末の広島3連戦は合計3得点の貧打で、悪夢の3連敗。3位で並ぶヤクルト戦を前に、打開を図る浜中打撃コーチはヒントを明かした。

「最近は点を取れていない。打者は甲子園だと力んでいる感じがある。神宮、ハマスタなんかは球場が狭いからか、余裕を持ってできている。甲子園の方が(強い)思いを感じるところはある。重苦しい感じがある。去年からずっと続いてるけど、広いからなのか。でも言い訳にはできない」

前日19日も2回までに3点を先制されると、アドゥワを打ちあぐね、9回に1点を奪うのが精いっぱいだった。甲子園では11日の中日戦から5連敗…。今季は本拠地で8勝13敗の借金5に膨れ上がった。甲子園では昨季も借金18と大苦戦したが、打線が空回りする現実は今も同じだ。同コーチは「先に点を取られて力みが出てる感じもある。みんなで声かけをしながらやっていきたい」と続けた。

もちろん、ナインは超満員のファンの前で全力を尽くす。だが、気合が力みに変わると、たちまち悪循環に陥る。矢野監督も19日の試合後「消極的になりすぎている感じも俺はしない。ある意味、もしかしたら気持ちが先行し過ぎている部分もあるかもしれない」と指摘していた。思いが強すぎると広い甲子園ではドツボにハマる。たとえば狭い東京ドームでビジター球場別本塁打数が最多の7本。横浜スタジアムもチーム打率2割8分と活発だ。フルパワーでなくても柵越えする球場の狭さは、力まない打者心理になる。「力むな指令」が突破口を開く。

浜中コーチは攻撃の先頭打者出塁もポイントに挙げた。「誰がどうとかじゃなくて、そういうところでいい形を作れれば、こっちのペース」。勝率5割から再び貯金生活に戻したい。21日に対戦する先発原は2週間前に土をつけている。いいかげんは「いい加減」だと言い聞かせて戦いたい。