中日のドラフト2位梅津晃大投手(22)が阪神打線を6回7奪三振1失点に抑え、プロ初登板初先発で初勝利を飾った。今年1月に右肩を痛め、大きく出遅れたが、リハビリを経て、この日は球威のある直球で圧倒した。東洋大で同期のソフトバンク甲斐野、DeNA上茶谷に続くプロ1勝。下位に沈む中日に楽しみな右腕が現れた。

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遅れてきた即戦力右腕が、初めてのチャンスでウイニングボールを手にした。梅津がプロ初登板初先発で初勝利。球団では16年佐藤優以来の快挙だ。お立ち台の景色は想像を超えていた。「あれだけの声援は人生で初めてだった。応援の力をすごく感じた」。試合後もグッと白球を握り、待ち焦がれた勝利の味をかみしめた。

緊張のため、初回は変化球が決まらず、直球も高めに浮いた。「緊張でバッターに向かっていく気持ちが空回りした。それでも、最初からテンポを上げていこうと思った」。持ち味は直球。1点を失っても、力いっぱい腕を振った。2回には6番大山から3者連続三振を奪う。梅津の性格を物語る対決があった。3点リードの6回2死、福留との対戦だ。初回に先制適時二塁打を許していた。「ストレートを打たれた福留さんに、ストレートで打ち取りたいと思った」。強気で攻めた。この日最速の151キロを計測し、結果は左飛。これがこの日最後の投球になった。6回7奪三振1失点で、上々のデビューだ。

焦りと戦ったプロ1年目だった。1月の合同自主トレで右肩インピンジメント症候群と診断され、春季キャンプでは1度も実戦で投げられなかった。東洋大で「150キロトリオ」と呼ばれたソフトバンク甲斐野、DeNA上茶谷は1軍で活躍している。「(リハビリは)焦りから始まった。今年1年、1軍で投げられるのか」。不安があった。リハビリを経て、1軍に復帰していく同僚の姿が支えだった。「自分も早く投げたい。1軍に上がったら、見ていろよ」。4月にウエスタン・リーグで初登板し、マウンドを重ねるごとに強気の性格がよみがえった。

プロ初登板で、苦しい日々が胸に去来した。「マウンドに上がった時、ケガを思い出した。トレーナーやコーチに朝から晩までつきっきりでやってもらった。いい報告ができると思った」。大学同期2人には先を越されたが、苦労の末につかんだ1勝は重みがある。与田監督も「あのボールがあるから、ウチに来てもらった。もっと良くなる」と力のある直球をたたえた。チームは2連勝で、4位阪神に2ゲーム差。梅津の存在が、さらに世代交代を押し進める。【田口真一郎】

▽ソフトバンク甲斐野 初登板で初勝利、すごいなと思いますし率直にうれしいです。投球内容も見たんですが、すばらしい内容で、大学のときにしてくれよ! という感じです(笑い)。上茶谷と梅津とぼくと、3人よく比較されてきた中で、梅津はケガに苦しんだところもあった。やはり底力がすごいんだな、と思います。一緒にドラフトで入った3人が1軍でプレーできている。母校にもいいニュースになると思います。

▽DeNA上茶谷 今日が梅津のプロ初勝利となりましたが、ここまで時間がかかっただけで、ここからどんどん勝ち星を重ねていくと思います。僕も負けないように頑張ります。