今季限りでの現役引退を表明している日本ハム田中賢介内野手(38)が、日米通算1500安打を放った。

1日の楽天23回戦(楽天生命)、2点を追う8回2死三塁の場面に代打で登場。右前適時打を放ち、プロ20年目で大きな節目に到達した。チームは2試合連続であと1点が届かず6連敗。リーグ最速で自力でのクライマックス・シリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。

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一矢報いたのは、ベテランの一振りだった。2点を追う8回2死三塁。田中賢は、ど真ん中へ甘く入った3球目、149キロの直球を見逃さなかった。反撃の思いが詰まった打球は、ライト前へ。楽天の下水流がダイビングキャッチを試みたが、その手前で落ちた。1点差に詰め寄る右前適時打。「三塁走者がいたので、とにかく1点をかえすつもりでいきました」。一塁ベース上で、ホッとした笑みを浮かべた。

プロ20年目で節目に到達した。現役引退を表明して臨んでいるラストシーズンも、あと1カ月を切ったところでの日米通算1500安打。「(2年間で8安打の)アメリカで打てなさすぎ…。ちょっと恥ずかしさもあります」と苦笑いするが、誇って良い数字だ。今季は代打での起用が多いが、勝負強さは健在で、74試合で32安打15打点、打率は2割7分4厘。「大きな波もなくやれている」と頼もしい。

99年ドラフトで日本ハムに2位指名され、飛び込んだプロの世界。ここまでの歩みは平たんではなかった。定位置を獲得し、初めて出場100試合を超えたのは7年目の06年。中心選手となっていた12年オフには、海外フリーエージェント(FA)権を行使し、メジャーに挑戦した。13年から2シーズンをジャイアンツなどでプレーし、15年に復帰した。この日、節目を刻み、次に見据えるのは、あと8本に迫っている日本での1500安打。「せっかくなので、最後までに打ちたいです」と、残る今季19試合での大台到達へ思いをはせた。

ベテランのメモリアルな一打で1点差に追い上げたが、反撃及ばずチームは6連敗。自力でのCS進出の可能性が消えた。酸いも甘いも知る田中賢は「負けが続くと、雰囲気は良くない。みんな必死にやっているので(流れが)変われば良いんですけど…」と試練の時を迎えているチームを憂えた。残り1カ月。ラストイヤーに悔いを残さぬよう、38歳の秋を全力で駆け抜ける。【田中彩友美】

 

◆田中賢の球団10傑記録 日本ハム在籍18シーズンで放った1492安打は、球団歴代5位の島田誠1502安打まであと10本に迫る歴代6位。出場1604試合は5位、5283打数は6位、695得点は7位、203盗塁は5位、613四死球は6位、765三振は6位。

 

◆今季の田中賢 オリックスとの開幕カード2戦目(3月30日)の9回に代打で今季初出場、翌31日の同カードで初先発(8番二塁)。ここまでスタメンは19試合で、代打の切り札として起用されることが多い。5月30日ロッテ戦では3-4の8回2死一塁で登場し、自身14年ぶりの代打本塁打となる逆転1号2ラン。代打では51打席45打数12安打1本塁打8打点、打率2割6分7厘の数字を残している。