巨人阿部慎之助捕手が約1カ月ぶりの1発を放ち、劣勢だったチームの風向きを変えた。6回から代打で出場し、1点を追う8回1死で迎えた第2打席、ヤクルト梅野の初球。真ん中高め148キロを、ややのけぞりながら、かち上げた。高々と舞い上がった打球は、神宮の夜空に吹くフォローの風に乗った。インパクトから7秒後、右翼ポール際へ着地。8月21日中日戦以来28試合ぶりの6号同点ソロに「打ててよかった。風のおかげ」と見えざるパワーに感謝した。

西武中村に次いで歴代2位となる232人目の投手からのホームラン。通算405号が生み出したムードが、勝ち越し弾につながった。続く大城が右翼席へ6号ソロ。阿部もベンチで左手を突き上げ「よし!」と声を張った。試合をひっくり返した2者連続弾に「(大城)卓三も続いたからよかったね」とうなずいた。

両手でハイタッチを交わしてベンチへ迎えた原監督も「いい場面でね」とベテランの一振りをたたえた。勝負どころを知り尽くす阿部の存在感が増すほど、7年ぶりの日本一への道が開けてくる。【桑原幹久】