今季限りで引退する阿部慎之助捕手(40)が「4番捕手」で先発する本拠地ラストマッチへ、臨戦態勢を整えた。

26日、川崎市のジャイアンツ球場で行われた全体練習前に、キャッチャーミットをつけて調整。捕手で先発するのは15年5月31日(楽天戦)以来、1580日ぶり。先発はマシソンで、2番手は中大の後輩沢村が登板する予定。「ありがとう慎之助」と銘打った一戦で、再びファンの心をわしづかみにする。

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全体練習を終え、ジャイアンツ球場の室内練習場へとつながるエレベーター前で足を止めた阿部は、ニヤリと笑って言った。「もうキャッチャーは無理だってところを見せるよ」。巨人ファンが待ち望んできた「4番捕手」での先発復帰。希代のエンターテイナーらしく、高ぶる周囲の期待を、笑いにつつんで切り返した。

涙なしの引退会見から一夜明け、早朝から慌ただしく動き回った。全体練習4時間前の午前9時30分に、2軍選手の前であいさつを行った。未来の巨人を担う若手の前で「壮大な夢を持って野球ができることを誇りに思って今後やってください」と呼び掛けた。

直後に室内練習場にキャッチャーミットを持って現れ、リハビリ中の畠とキャッチボール。25歳の右腕から「幸せです。涙が出そうです」と感激されると、ランニング、ダッシュを続けて全体練習の1時間前にグラウンド入り。フリー打撃では逆方向にライナー性の打球を丁寧に打ち返し、仕上げに右翼へ2発の柵越えをたたき込んだ。

盛り上がる周囲をよそに、最後までマイペースで調整。投手はマシソン、沢村…とリレーする予定で、宮本投手総合コーチは「誰もが認めるプロ野球選手。日本だけじゃなくて世界をまたにかけた阿部慎之助を見送りたい」と豪華“演出”を約束。捕手での先発に、坂本勇は「ずっと見てきた光景だから、久しぶりに見られてうれしいです」と気持ちを高ぶらせた。全員ユニホームの袖には「ありがとう慎之助」のロゴを付けてプレーする予定。ファンだけでなく、選手、首脳陣も心待ちにする一戦で、阿部が大歓声の中、グラウンドに立つ。【前田祐輔】