急ピッチ調整弾だ! 広島松山竜平外野手(34)が10日、鹿児島・鹿屋市の母校鹿屋中央高で自主トレを公開した。7日から始動したばかりにもかかわらず、校舎を直撃する推定飛距離130メートル弾など柵越えを連発。例年とは違う調整法が早い仕上がりにつながっている。「5番一塁」の定着を目指し、長打力向上とともに急ピッチで調整を進めていく。

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ゴォンッ! 校舎の3階下の壁で白球が大きくはねた。推定飛距離130メートルの“危険な”弾道にも、松山は涼しい顔で打撃練習を続けた。休み時間にベランダに出てきた生徒たちはプロの弾道にくぎ付けとなり、気づけば拍手や驚嘆の声を上げていた。

「例年(右中間防球ネットを)越えてもそれほど頻繁には越えなかった。その点で言えば、振れている」

スロースターター脱却の思いが飛距離に表れていた。昨季は4月を終えた時点で打率1割4分。後半戦から本来の打撃を取り戻したものの、出遅れを取り戻せなかった。本人も「ふがいない」と唇をかむ。今オフは急ピッチ調整にシフト。例年はシーズン終了から年明けまではバットを握らず筋力トレ中心だったが、今オフは振り続けた。まだ自主トレ4日目だが、母校の後輩たちに例年以上の早い仕上がりを見せつけた。

今オフは長打力も追求する。相棒のバットを昨季の操作しやすいモデルよりも、重さのバランスをバットの先にしたものをテスト。「小さくならないように、しっかり振りたい。昨年なんかはほとんど背中に、バットが当たっていない。それを取り戻したい」。背中に当たるまで振り抜く形が調子のバロメーターであり、持ち味。力強いスイングができるよう、オリックス吉田正モデルのバットとともに試行錯誤していく。

朝は9時からウエートトレーニング、短距離走や中距離走、階段ダッシュで体の切れを出すメニューをこなし、午後はひたすらバットを振る。同行する広島の後輩林や楽天小郷には打撃指導を惜しまない。自身も「(今年で)まだまだ35(歳)ですから。その年齢でバリバリやっていた人もいる」とさらなる可能性を信じている。「5番一塁」での全試合出場にこだわる今季、原点に立ち返ってスタートを切った。【前原淳】