出発の時が来た。ロッテのドラフト1位、佐々木朗希投手(18=大船渡)が26日、春季キャンプ地の沖縄・石垣島へ出発する。ZOZOマリン、ロッテ浦和球場と続いた新人合同自主トレも、25日まで順調に全てのメニューをこなした。2月1日のキャンプインまでは南国で体を慣らす。“あの夏”から半年、いよいよ大人の階段を上り始める。

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佐々木朗の表情は、日に日に充実感を帯びている。「やりたいことはしっかりできましたし、メニューも全てこなせたので良かったなと思います」。12日間の関東での新人合同自主トレを無事にゴールした。

初日の12分間走など、高校時代には縁のないメニューも体験した。「つらい時期もありましたが、しっかり対応できたと思います」と満足の出来だ。60メートルの距離まで伸びたキャッチボール。相手との距離をどんどん詰め、強めに投げて締めるのがルーティンになった。24日は22メートル。25日は20メートルまで詰めた。18・44メートルも、そう遠くはなさそうだ。

佐々木はプロの練習についていけるのか-。球界に広がった心配の声を消し去るような、ここまでだ。ヤクルト奥川、巨人堀田と同じドラフト1位の高卒右腕が右ひじの違和感や張りでペースを落としている。佐々木朗は技術練習、体力強化、ケアを繰り返しながら、決して焦ることなく着実に前へ進んでいる。

大人の階段を上るかのようだ。ちょうど半年前の19年7月25日。高校野球岩手大会決勝でマウンドに上がらず、高校野球を終えた。高校生には手も足も出ない160キロを投げながら、筋力に体力と課題は一目瞭然だった。「試合がなかったので、自分の弱点じゃないですけど、そういうところを強化できたのかと思います」と半年間を振り返る。

韓国でのワールドカップ、ドラフト、入寮…人生が動いた6カ月で、表情もすっかりたくましくなった。「高校日本代表で得たものはすごく大きいと思いますし、ここに来てからも多くのことを経験できました」と、18歳には確かな手ごたえがある。中学、高校と学ランで過ごした青春も、いよいよ本格的に次のステージへ。ネクタイをしっかり締め、飛び立つ。【金子真仁】

<佐々木朗希の新人合同自主トレ>

◆握手 初日11日の座学研修は「2分間で何人と握手できるか」対決。佐々木朗は約20人と握手。

◆12分間走 初日11日に実施。最下位スタートも結局4人を抜き3位に。2925メートルを走った。終了後はファン201人と即席サイン会も。

◆マウエ投法 14日、ドラフト2位の佐藤都志也捕手(21=東洋大)と初めてキャッチボール。「速い割に重い」と佐藤。耳をかすめるほど真上から腕を振るようになった。

◆2人のロウキ? 16日に体力測定。筋力は平均以下ながら、力の発揮範囲の広さがメジャー級と判明。

◆ライバル 17日、ヤクルト奥川の右肘炎症を受けて「お互い焦る時期じゃない」と気遣う。

◆大谷 運動時の骨格メカニズムを分類する「4スタンス理論」の講義を19日に受け「B2」の診断。ヤンキース田中、エンゼルス大谷と同タイプだった。

◆1軍 井口監督が22日、佐々木朗の石垣島キャンプ1軍スタートを明言。

◆神対応 24日の練習終了後、待っていたファン164人全員にサイン。