ソフトバンクの2012年(平24)シーズンは「熱い男」の1発でスタートした。「あの頃の開幕戦」企画、今回は本拠地ヤフードーム(現ペイペイドーム)にオリックスを迎えた12年。当時プロ7年目だった松田宣浩内野手(36)が、2回1死一塁での第1打席で左翼席への先制2ランを放った。チームの快勝を呼び、前年日本一を果たしたチームにふさわしい強さを見せつけた。
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試合開始から26分。松田宣が「お祭り男」ぶりを発揮した。シーズン初打席が2回1死一塁で回ってくると、オリックス・フィガロのフルカウントからのスライダーを左翼席へ運んだ。
追い込まれたらバットを短く持って対応する普段の打撃スタイルで、先制弾を放った。
松田宣 いつも通り。それでも飛ぶのは分かっている。短い方がボール球を振りませんし。チームの勝ちにつながってよかった。去年(11年)は投手に抑えてもらい、最少得点で勝っていた。今年(12年)はどんどん点を取りたい。
12年シーズン第1声は、喜びのホームラン談話になった。前年はチーム最多の25発をマーク。「6番三塁」で先発し、4番松中が四球を選んで迎えた好機での一撃だった。今なら「アツオ~」のパフォーマンスで盛り上がるだろう。
日刊スポーツ評論家の浜名氏も、松田宣の積極性を絶賛していた。「3球連続ボールで松田はどうするか。注目して見たら、打ちにいった。先制点を争う序盤。待とうかなと思う状況で、松田には四球を待つ気持ちは全くなかった。『オレが打つ』攻めの気持ちが、本塁打となった」。8年たっても積極的な打撃は衰えない。
松田宣は開幕戦に強い。新人だった06年は小久保以来12年ぶりとなるルーキー野手の開幕スタメンを果たした。07年の開幕は2軍スタートだったが、08年から昨年まで12年連続で開幕スタメン出場を果たし、無安打だったのは18年だけ。開幕戦は通算13試合で45打数13安打2本塁打7打点、打率2割8分9厘。12年(2ラン)と19年(ソロ)に放った2本塁打は、いずれも2回の初打席に放った先制弾だった。
当日は恵理夫人とタイを食べて球場入りし「今夜は赤飯でお祝いです」と開幕戦のおきまり行事もうまくはまったという。そして開幕戦白星後のお立ち台ではマイクを握り「ワン! ツー! スリー! マッチー!」。そんな光景が待ち遠しい。【ソフトバンク担当・浦田由紀夫】
▼ソフトバンクの12年シーズン 開幕ダッシュに成功するも、交流戦の低迷が響き、16年ぶりの借金で前半戦を3位で折り返した。シーズン終盤に日本ハムとの首位争いに敗れ、西武にも抜かれて67勝65敗12分けの3位で終了。リーグ3連覇はならなかった。クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージで2位の西武を下したが、ファイナルステージで日本ハムに3連敗して敗退し、連覇を狙った日本シリーズ進出を逃した。このシーズン中に千賀と牧原が育成から支配下選手へ。ドラフト1位は東浜だった。
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○…10年までは「SBM」の一員で中継ぎで活躍していた摂津がこの年、初めて開幕投手を務めた。7回99球を投げ、4安打1失点(自責0)。オリックス打線を3回までパーフェクトに抑える好投だった。「うれしいというより、ホッとしました。開幕が特別だという気持ちがわかりました」。この年は両リーグ最多17勝を挙げ、最多勝、最高勝率、沢村賞に輝いた。
○…12年開幕戦のクリーンアップは、内川、松中、小久保の豪華な顔ぶれだった。内川はソフトバンクに移籍した1年目の11年に打率3割3分8厘でパ・リーグ首位打者に。小久保は11年日本一のシリーズMVP。3人とも安打は出なかったが、相手投手からすれば圧力を感じる打線だったに違いない。内川はこのシーズンに最多安打をマーク。小久保は2000安打をマークし、現役を引退した。



