日本ハム栗山英樹監督(59)が、監督通算632勝で球団歴代単独トップに立った。10日オリックス2回戦(京セラドーム大阪)は、同点の9回に野村佑希内野手(20)が、左中間を破る決勝の適時二塁打。チームは今季初の連勝で、大沢啓二氏と並んでいた球団監督勝利数を更新した。

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重圧を、爽快に打ち消した。2-2の9回無死一、三塁。野村が、心の中で大きくうなずいた。カウントは3ボール。栗山監督からは「打っていい」のサインが出た。「信頼してもらっていると思った。気持ちを整理して、しっかり打てた」。直球146キロを無駄のないスイングではね返し、左中間を破る決勝の適時二塁打につながった。

栗山監督は「怖がるかなと思ったけど、素晴らしかったね。モヤモヤを吹っ切ってくれれば」と願った。3試合15打席ぶりの安打。開幕からチーム唯一、6試合連続安打も、前カードのソフトバンク戦から“プチ”スランプに陥った。「1軍のトップレベルの選手との実力の差を感じた」。攻守で精彩を欠いていたが、スタメンで起用し続けてくれた期待に応えた。

ブレークの兆しが見えていた昨季、この日と同じ京セラドーム大阪で右手小指を負傷。シーズンを棒に振る、長期離脱を強いられた。リハビリ中に、栗山監督から2冊の本をもらった。「自分がやらないと、結果は付いてこない、という話の本だった」。本を通してメッセージを受け取り、力を蓄えて今季を迎えた。

試合後、目尻を下げた栗山監督と並び、記念ボードを掲げた。ボードには「監督通算632勝」。大沢啓二氏と並んでいた球団の歴代通算勝利数を更新した。指揮官は「それだけの数、選手たちと喜び合わせてもらったことは球団、ファンの人たち、選手たちに本当に感謝している」と話した。野村は「節目の記録に貢献できて、うれしい」と、ほおを緩めた。

高卒3年目、真価が問われるシーズン。「連敗中は迷惑しかかけていなかった。何とか勝利に貢献できてよかった」と一打の重みをかみしめ、若きスラッガーが勝利への道を照らしていく。【田中彩友美】

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▽日本ハム石井(2試合ぶりにスタメン出場し、3回に同点適時二塁打) (打ったのは)カーブ。うまく体が反応してくれました。早い段階で同点に追いつくことができてよかった。

▽日本ハム清水(5回、今季初打点となる一時勝ち越しの右前適時打) いいところで打つことができて、よかったです。