「サニブラウンに勝った男」はパンチ力もある。日本ハムのドラフト2位ルーキー五十幡亮汰外野手(22)が西武戦(メットライフドーム)の7回、右翼席へプロ初本塁打を放った。100メートル走で10秒79のベストタイムを持つ異次元のスピードスターは、1号ソロが柵越えした瞬間からゆっくりとダイヤモンドを1周。チームの今季初となる2桁得点での大勝に貢献し、25日から始まる交流戦へ弾みを付けた。

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失敗を恐れず、新たな魅力を披露した。7回先頭。五十幡は146キロ直球をフルスイングでミートした。「打球の伸びが感じられて、しっかり捉えられた感じが自分の中ではあった。ホームランになって良かった」。打球は勢いよく、右翼フェンスを越えていった。プロ初アーチとなる1号ソロ。全力疾走していたルーキーも走るスピードを緩め、ゆっくりとダイヤモンドを回った。

記念の1発は、カウント2-0から一振りで決めた。「振り出すと決めたら、しっかり振ろう」と決めていた。5回の第3打席は1-0から同じくファーストストライクを強振も捉えきれずに左飛。結果は反省しながらも「プロ野球は長いシーズン。切り替えが大事とコーチからも言われていますので」と、助言通りに失敗を引きずらず、注目される走力だけではないパンチ力を発揮した。

中大時代は4年間で2本塁打。ドラフト指名後は、プロで強い打球を打って走れる選手になるために体重を増量。約5キロ増の68キロで1軍スタートとなった春季キャンプに参加したが、初日のベースランニング中に左太もも裏を肉離れして離脱した。「体重を上げすぎて肉離れの1つの原因になった。悔しかったですけど、今は後悔はしていないです。勉強になったし、これをきっかけに強くなるんだ、と決めました」。現在は66キロ前後で動きやすい肉体をキープしている。

中大で同期だったDeNA牧の存在も刺激になっていた。開幕から主力として躍動する姿に「うれしかった」と同時に「自分のやることをやって牧に追いついてやろう」と2軍で実力を蓄え、今は1軍戦力として存在感を大きくし始めている。牧が所属するDeNAとは交流戦最後のカードとして、6月11日から札幌ドームで3連戦が組まれている。「自分もスタメンで出て直接対決できたら」と、戦友との再会も楽しみにしながら、日々レベルアップしていく。【木下大輔】

<五十幡アラカルト>

◆生まれ 1998年(平10)11月27日。埼玉県行田市生まれ。22歳。血液型B

◆サイズ 171センチ67キロ、右投げ左打ち、50メートル走は機械計測で5秒8、100メートル走10秒79

◆球歴 行田市立東小1年で軟式を始め同6年時にはヤクルトジュニアで12球団ジュニアトーナメントにて準優勝。中学時代に東京神宮リトルシニアで硬式を始めた。佐野日大高(栃木)では甲子園出場なし。中大では1年春から外野に定着し、2年秋と3年秋にベストナイン選出

◆陸上 行田市立長野中では陸上部に所属。短距離走の選手として活躍し、中3の全日本中学校陸上競技選手権では現男子100メートル走日本記録保持者のサニブラウンを抑え、100メートル走と200メートル走の2冠に輝いた

◆契約金 20年ドラフト2位で日本ハム入団。契約金7000万円、年俸1100万円(推定)

◆家族 小3時に病気で母を亡くし、父と1歳上の姉の3人暮らし。近所に住む祖母が家事を手伝ってくれた

◆趣味 映画観賞

◆スパイク 中大時代からミズノ社製の特注8本歯を愛用。武器の足を生かすため、陸上用に近い作りになっている

◆登場曲 同期入団の今川優馬外野手から「似合うんじゃないか」と薦められFLOWの「ドリームエクスプレス」をチョイス。2軍戦ではNiziUの「Take a picture」などを使用していた

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▽日本ハム栗山監督(プロ初本塁打を放った五十幡に) しっかり振れば、ああいうホームランも出るし、本当に思った通りなので良かった。