プロ野球は開幕から約2カ月。25日からは交流戦に突入します。セ・リーグは阪神が快調に首位を走ります。ここまでの順位は予想どおり? それとも意外? 各球団の担当記者が、収穫と課題を列挙しました。仕切り直しのスタートへ向けて、整理しておきましょう。

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<1位:阪神>

収穫 大山が戦線離脱した10試合を6勝3敗1分で乗り切り、選手層の厚さは本物。ルーキー佐藤輝が、「4番三塁」を担い、攻守に存在感を見せた。3番マルテ、5番サンズも健在で、大山の復帰が見込まれる交流戦では打線がさらに厚みを増す。投手陣では岩貞、岩崎、スアレスの「勝利の方程式」が盤石。新助っ人アルカンタラは、16日巨人戦で初登板初勝利し、先発の一角として期待。

課題 新助っ人ロハスが27打数2安打、打率0割7分4厘と苦戦。一方、ベテラン糸井が先発した2試合で本塁打と好調。パ・リーグ主催試合ではDHの起用法が鍵になる。また、糸原が19日に下肢のコンディショニング不良で出場選手登録抹消された。開幕から不動の2番だっただけに、その穴は大きい。

 

<2位:巨人 4・5差>

収穫 エース菅野が足と右肘の違和感で2度も抹消された中、3年目の高橋が先発陣を引っ張った。開幕から5戦5勝と安定した投球で、先発ローテーションを守った。野手陣では新型コロナウイルス感染による離脱から復帰したウィーラーが22試合連続安打を放ち、4番岡本和が5月に入って7本塁打と本調子を取り戻しはじめている。

課題 リリーフ陣が安定しない。守護神としてスタートした中川が開幕から本来の力を発揮できず、デラロサは米国の市民権取得手続きによる帰国で約1カ月戦列を離れ、21日中日戦で復帰したが2試合ともイニング途中で交代と、本調子にはもうひと息。菅野に加え坂本も右手親指の骨折で負傷離脱する中、梶谷が23日の中日戦を左太もも裏の違和感で負傷交代した。救援陣の整備と故障者の早期復帰が、交流戦の戦いを占うことになりそうだ。

 

<3位:ヤクルト 6差>

収穫 打線の厚みが増した。特に中軸が安定感を見せている。3番山田がリーグ3位タイの10本塁打。4番村上は打率4位、本塁打トップ、打点3位と貫禄の数字。5番に定着し始めたオスナも、打率2割9分8厘の好成績を残している。強力なクリーンアップに加え、7番に座るサンタナも、相手にとっては不気味な存在。打率2割7分9厘、4本塁打、15打点と気の抜けない打線を構築している。

課題 リリーフ陣の“勤続疲労”が懸念。43試合を消化し、近藤と清水が21登板。マクガフ、石山が20登板と続く。今野も18試合、梅野と坂本が17試合と、リリーフに頼る試合が続いた。先発投手のクオリティースタート(QS=6回以上自責3以下)率はリーグ5位の39・53%。先発投手が長い回を粘り、ブルペンの負担を減らしたい。

 

<4位:広島 10差>

収穫 昨季はシーズン中盤まで固定できなかった抑えを新人栗林で固定できた。デビュー登板からの連続無失点記録を更新し続け、無失点のまま交流戦を迎える。被打率0割9分1厘、奪三振率14・77と絶対的な守護神の存在は、延長のない今季の戦いに大きなアドバンテージとなっている。

課題 開幕から打線を固定できず、攻撃の形が見えない。チーム打率は上位2球団と僅差のリーグ3位2割5分5厘も、同5位の131得点。佐々岡監督が掲げた機動力野球も機能しているとはいえない。そこへきてチーム内に新型コロナウイルス感染が拡大。菊池涼や鈴木誠の主力級に、羽月や石原の台頭してきた若手も出場選手登録抹消となった。得点力に加え、戦力ダウンのハンディも抱え、パ・リーグとの戦いに臨む。

 

<5位:中日 11差>

収穫 レギュラー定着こそしていないが、根尾を筆頭に井領、三ツ俣、高松らが打撃、守備、走塁で存在感を発揮する。根尾は5月月間打率2割7分5厘と上昇中。また50メートル5秒8の高松も代走で5盗塁と攻撃のオプションの1つとなっている。

課題 チーム打率2割3分6厘、18本塁打はパ6球団と戦う交流戦で見劣る。機動力をいかに得点につなげることができるか。また、五輪米大陸予選に守護神R・マルティネスがキューバ代表として出場するために離脱。15ホールドの又吉らを中心にリリーフ陣の再編も勝敗を左右しそうだ。

 

<6位:DeNA 16・5差>

収穫 ドラフト2位ルーキー牧が打点と本塁打でチームトップという活躍を見せた。ソト不在の中、一塁手で開幕スタメン。来日後は本来の二塁にポジションを移し、しっかりレギュラーを獲得した。投手では山崎が復調した。昨年は0勝3敗6セーブ、防御率5・58と不振だったが、セットアッパーを任された今季は3勝1敗9ホールドで防御率2・01。勝ちパターンの8回を担っている。

課題 故障者の復帰と、新たな故障者を出さないことだ。今季はけが人が続出した。防御率0・90の平良は、右肘の張りで2度の登録抹消。チーム初勝利を挙げた阪口も右肘の炎症で抹消中だ。10連敗を止めた坂本、中継ぎの三上、先発の京山は打球が当たった。野手では遊撃の柴田が守備で交錯し左肩を脱臼。遊撃を守れる倉本も故障で戦線離脱と、同ポジションで痛手を負った。