虎の救世主になってくれ! 上肢コンディション不良で2軍調整が続いていた阪神高橋遥人投手(25)が7日からのヤクルト3連戦(甲子園)で1軍昇格する可能性が浮上した。

8月31日のウエスタン・リーグ広島戦(鳴尾浜)に先発。故障後最長となる5回1/3を1安打5奪三振無失点でリーグ新記録の14連勝に導いた。待望の左腕が今季初の4連敗となった矢野阪神を救う。

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48日ぶりに甲子園に帰ってきた阪神は今季初の4連敗を喫した。巨人、ヤクルトとの激しい首位争い。試合後、矢野監督は左腕の名前を1軍の戦力に組み込んだ。「今日でこっちに来られる準備が整った。どこに入れるかは、また考えます」。今季エース級の活躍が期待された高橋だ。早ければ7日からのヤクルト3連戦で、1軍に昇格する可能性が浮上した。

復活の左腕がチーム状況を好転させる切り札になる。2軍広島戦で、故障後最長となる5回1/3を1安打無失点に抑え、リーグ新記録の14連勝に導いた。奪った三振は5つ。唯一のピンチだった3回1死満塁もメヒアの内角に147キロの直球を投じ、三ゴロ併殺で切り抜けた。「(実戦復帰後)先発した3試合では一番良くなかった。真っすぐで(ストライクを)取らないといけないところでボールになったり、厳しくいかないといけないところで甘くなって打たれた。それをなくさないといけない」と自らに辛口採点。発言はすでに1軍レベルを見据えている。

上肢コンディション不良で長いリハビリが続いたが、この日は76球を投げ、最速は149キロを計測。同22日のソフトバンク戦(タマホームスタジアム筑後)でも5回を投げた。「6回まで球速が落ちなかったのは収穫」と、体力面での不安を解消した。同リーグでは、6試合に登板し、17回1/3を1失点。防御率0・52と安定感は抜群。平田勝男2軍監督(62)は「もう故障者じゃない。十分だ。1軍も当然見てる。80球だからな。あとは1軍の判断になると思う」とリハビリ卒業に太鼓判を押す。

後半戦は7勝9敗と2つ負け越し、波に乗れない。エースの西勇が自己ワーストの6連敗で、二保は降格。代役のルーキー村上もKOされ、出場選手登録を抹消された。2日には再昇格の藤浪が先発予定。本来自慢の先発陣が試合をつくれていない。左腕が新人の伊藤将だけの状況で、高橋が1軍に帰ってくることは、大きい。今季左腕エース候補として期待された高橋が、チームの流れを変える存在になる。【前山慎治】

【阪神高橋の今季】

▼春季キャンプ

昨年は自己最多の5勝を挙げた。4年目の今季は左のエース格として期待され、沖縄・宜野座1軍キャンプスタート。

▼右脇腹負傷 2月16日の楽天との練習試合(宜野座)に4番手で6回から登板。3回4安打1失点も登板中に違和感を覚えた。翌日、右脇腹筋挫傷と診断された。その後は別メニュー調整を続け、同月25日に帰阪した。

▼ブルペン投球 ファームで6月8日に故障後初ブルペン入り。同月25日には4度目のブルペン入りし、変化球やクイックを交え43球。「自分のボールを投げられないと意味がない。早く(復帰)しすぎて(球が)戻っていないよりも、時間をかけた方がいいと思う」。

▼打撃投手 7月13日2軍広島戦後に鳴尾浜で打撃投手を行う。栄枝、高寺を相手に52球を投げ最速は146キロだった。登板後は「変化球は全然オッケーで真っすぐがちょっと弱い」と自己評価した。

▼5カ月ぶり実戦復帰。7月25日2軍中日戦(鳴尾浜)で4回から登板。1回を無安打無失点。計13球を投じた。この日最速は150キロ。「投球内容は別として、1イニング投げられたことは、だいぶ進んだというか、よかったかなと思います」

▼2戦連続3人斬り

7月31日2軍オリックス戦に8回、5番手で登板。11球で2戦連続の1イニング3者凡退に抑えた。

▼勝ち投手 8月7日2軍広島戦(鳴尾浜)で8回から4人目で登板。ソロを許すが2回、18球で1安打1失点。味方のサヨナラ勝ちで勝ち投手に。平田2軍監督は「内容的には悪くない」と評価した。

▼故障後初先発 8月15日2軍オリックス戦(ほっともっと神戸)で初先発。3回1安打無失点と好投した。1回1死から中川圭に不運な二塁打を浴びたが、その後は後続を断った。

▼故障後最長 8月22日ソフトバンク戦(タマホームスタジアム筑後)で、中6日で2度目の先発。5回61球で2安打無失点と好投した。最速は150キロだった。