大敗の中、阪神近本光司外野手(26)が今季11度目の猛打賞、45度目のマルチ安打で気を吐いた。初回はDeNA今永の147キロ直球を左中間へはじき返し二塁打。その後三塁へ進み、マルテの内野安打で先制のホームを踏んだ。速球から一転、3回は111キロカーブを捉えた。迷わず初球を振り切り、右前打。5回は中前打と広角に打ち分けた。「先頭ばっかりだったので。とにかくチャンスを作る」とリードオフマンの仕事に徹した。

これで137安打とし、129安打で2位のDeNA佐野らに8本差をつける。「状態としてはあんまり良くなかったんですけど、自分のイメージしたことが、今日はしっかりできたんじゃないかと思います」。3安打にも「良くなかった」と言えるほど、打撃の精度は上がっている。阪神では13年マートン以来の最多安打のタイトルもばっちりと視界に入る。

自身はこの勢いのまま14日から、先週1勝2敗と負け越したヤクルト戦に向かう。「いいピッチャーばっかりこれから続くんで。とにかく先制して中押しダメ押しと、しっかり自分たちの野球できるように」。選手会長はチームの総意を代弁し、眼下の敵との2連戦へ視線を向けた。【中野椋】