阪神桑原謙太朗投手(35)が20日、兵庫・西宮市内の球団施設で会見し、プロ14年目の今季限りでの現役引退を表明した。

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「真っスラ」のルーツを求めて奈良産大時代の恩師、藤原忠理監督(現天理大監督)に話を聞いたことがあった。なぜあれほど鋭く曲がるのか-。同監督は2つの要因を挙げた。大学時代に試行錯誤して作り上げた独自のフォーム、加えてボールを引っ掛ける指の強さだ。

もともと津田学園高時代からテークバックが小さい独特のフォーム。さらに研究を重ねてオーバースローに近かったフォームは、大学でスリークオーター気味に生まれ変わった。入学時に140キロ台に満たなかった球速も、大学4年で150キロまでアップした。そして指の強さ。藤原監督は「引っ掛ける力は遠投で確実に強くなりました」と明かした。納得できるまで遠投を続け、その後に30~40メートルの距離で変化球を投げる。これを繰り返した。

桑原はこの日、「真っスラ」について「唯一無二ではないですけど、特殊球という形で14年間できたので、感謝しています」と笑顔で話した。決して偶然の産物ではない。和製リベラの「真っスラ」は努力と鍛錬の結果だった。【桝井聡】