日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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日本ハムで新庄剛志が連日のビッグボスを演じている。鳥谷敬はロッテで完全燃焼してユニホームを脱いだ。CSを勝ち上がったロッテは、今岡真訪の存在感がヘッドコーチとしてスパイスを利かしているらしい。阪神のスターOBが今、他球団で話題になっている。

阪神では臨時コーチ招へいも含む“外様”が重用されるたびに、OBの手腕は評価が低いのか、使いづらい、それとも適任者がいないのかと考えてしまう。球団独自の人脈、ネットワークだろうが、そこから将来ビジョンは見えてこない。巨人が2軍監督の阿部慎之助を1軍作戦コーチにして路線を敷いたのは、だれもが“ポスト原”を見据えた人事とイメージができる。

阪神監督だった15年に和田豊が退任し、金本知憲が監督に就く際、当時オーナーだった坂井信也は「再建、出直すという言葉が適切なのか、1度つぶしてしまって」とチーム解体を容認し、長期の指揮権を示唆した。だが、その結末はみっともなかった。金本は志半ばで、ハシゴを外されるかのごとくその座を追われた。その後継監督が矢野燿大だった。当時、阪神トップから「矢野しかおらんでしょ」と言い切られたのを思い出す。

かたや常勝を宿命づけられる巨人は、金本と同じ年に監督に就いた高橋由伸が3シーズン続けてのV逸で退任すると、実績のある原辰徳がチームを再建し、いつでも次世代にバトンを渡す用意をしているようにみえる。

3年契約最終年で区切りのシーズンだった矢野は、壁を突き破るに至らなかった。阪神が選択した「もう1年」の意味は重い。勝負の世界は結果がすべて。歴史と伝統のある西の名門は、だれに、いかにつなぐのか。阪神にとっては“ポスト矢野”をにらんだ戦いにもなる。(敬称略)