背番号18の粘投も、白星には届かず。仙台大(東北3連盟)は3-5で国学院大(東都大学野球連盟)に逆転負けを喫し、明治神宮大会初出場初勝利を逃した。それでも、先発した左のエース長久保滉成(3年=弘前学院聖愛)が、持ち味全開の投球を披露。101球を投じ、5回2/3を5安打無失点の好投だった。この試合で登板した全3投手はまだ下級生。悔しさを糧に、さらなる成長を目指す。

誰も下を向かなかった。仙台大は2-5の9回に1点を返し、なお2死三塁と、1発出れば同点の場面。2番稲山裕一外野手(4年=篠山産)が左飛に倒れ、初の神宮舞台が終わった。森本吉謙監督(47)は、「リーグ戦を通じて最後まで諦めない姿を見せてくれた選手に感謝したいです」。初勝利は逃したが、雨中の熱戦を繰り広げたナインをたたえた。

つかみかけた初白星は、するりとこぼれ落ちた。2点リードで迎えた8回だ。5回2死一、二塁から救援登板した2年生サイド右腕・川和田悠太が、1点差に迫られる。なお1死満塁のピンチで3番手でマウンドに上がった佐藤亜蓮投手(3年=由利工)は走者一掃の適時三塁打を浴びるなど、この回一挙5失点。踏みとどまれなかった。指揮官は「結果的には打たれた。あの場面で出る方もつらいし、使った方が悪い。その中で、よく投げてくれたと思います」と振り返った。

先発した長久保は驚異の粘投を披露した。101球を投じながら、5回2/3を5安打無失点。毎回のように得点圏に走者を置き、3者凡退は4回のみ。ノビのある130キロ台後半の直球に、ブレーキの利いた必殺球のチェンジアップを織り交ぜる。内外角のコースへ丁寧に投げ分け、ホームは踏ませなかったが、悔しさを口にした。「相手バッターが積極的に振ってきたので、神経を使ってしまい、最後まで投げきれなかった」。

この敗戦で4年生は引退。投手陣は最終学年となる長久保を中心に、下級生が多く残る。「レベルの高さを知ることができた。まだまだだなと感じた。また、神宮に帰ってこれるように、成長していきたい」と前を向いた。悔しさを糧に、スケールアップし再び大学野球の聖地に舞い戻ってくる。【佐藤究】