球界のエースになった。プロ野球草創期の名投手、故沢村栄治氏を記念し、シーズンで最も活躍した先発投手を表彰する「沢村賞」の選考委員会が22日、都内で開かれ、オリックス山本由伸投手(23)が全会一致で選出され初受賞した。投手部門4冠で25年ぶりのリーグ優勝に貢献した右腕は、7項目ある選考基準のうち5項目をクリアした。沢村賞投手となった山本は日本シリーズ2度目の登板へ意欲を燃やした。

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冠が似合う男になってきた。沢村賞に選ばれた山本は都内で代表取材に応じ「歴史のある賞なので、本当にうれしい。これを自信に変えてレベルアップしたい。毎試合、圧倒できるような投球を目指したい」と笑顔で花束を抱えた。初の開幕投手を務めた5年目の今季は26試合に先発して18勝5敗、防御率1・39だった。

沢村賞の選考基準は(1)15勝以上(2)150奪三振以上(3)10完投以上(4)防御率2・50以下(5)投球回200以上(6)登板25以上(7)勝率6割以上。山本は完投数と投球回数以外の5項目をクリアした。選考委員会の堀内恒夫委員長は「5項目をクリアした山本投手が、選考の第1番目で名前が挙がった。他の投手は残念ながら比べようがないぐらい突出している」と説明。満場一致での選出となった。

山本は最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、勝率第1位の4冠に輝き、新たにタイトルが加わった。「この賞は選んでいただく賞。誰かに評価されるのはすごくうれしい。みなさんの意見が一致で選んでもらったのは、ますますうれしい。認めてもらえたかな」。

次に見据えるのは“完全投球”だ。6月11日広島戦では8回先頭の鈴木誠に打たれるまで無安打無得点を続けた。快挙にあと6アウトまで迫っただけに「今年できなかったんでいつかやりたいですね」と笑った。

ヤクルトとの日本シリーズは1勝1敗。第6、7戦までもつれれば、第1戦に先発した山本が再び投げる可能性がある。「投げたい気持ちもありますけど、早く日本一に決まりたい気持ちもあります」と正直に明かした上で、エースとして「チームを勝たせられるような投球がしたい」ときっぱり。快投で、21年にピリオドを打つ。【真柴健】

 

◆山本由伸 やまもと・よしのぶ。1998年(平10)8月17日、岡山県生まれ。都城から16年ドラフト4位でオリックス入団。17年8月に1軍デビュー。18年は救援、19年から先発に定着し、同年防御率、20年最多奪三振、今季は4冠を獲得。今季推定年俸1億5000万円。178センチ、80キロ。右投げ右打ち

 

▽平松政次氏 成績が他の投手を圧倒している。文句なしで山本。