打撃マシンで買って沖縄まで持って来た! 阪神梅野隆太郎捕手(30)が15日、沖縄県内のグラウンドで岩崎、大山らとともに行う合同自主トレを公開した。持ち込んだのは大山と共同購入した最速150キロの打撃マシン。120万円ほどの自己投資となったが、練習効率もアップし、打てる本数も大幅に増えた。昨季はV争い佳境で極度の打撃不振に陥り、スタメン落ちで終戦。打てる捕手になってVを導く意気込みだ。

    ◇    ◇    ◇

【関連記事】阪神ニュース一覧

冬晴れの沖縄。フリー打撃で、真新しい青色のバッティングマシンが、フル回転していた。オンライン取材に応じた梅野は「マシンをこっちに持ってきて、みんなで数多く打てるような環境をつくりました」と説明。マシンから放たれる白球を次々にはじき返し、充実の表情を浮かべた。

昨年までの自主トレは、選手が交互に打撃投手を務めていた。だが、少人数で行う練習効率アップを考え、打撃マシンを梅野と大山で共同購入した。アーム式で最速150キロまで投げてくれる。120万円ほどの自己負担になったが、一度に約120球を自動でセットできる。交互に打撃投手を務める負担も減り、1人が打てる打撃練習の本数も大幅に増えた。

梅野は今回の自主トレテーマを「数多く打つこと」と説明。一緒に練習している大山、小野寺に加え、梅野は人一倍の打撃力アップを目指している。選手が自腹でマシンを購入すること自体異例だが、海を越えた沖縄にまで持ち込んだ。そこに、今季にかける並々ならぬ覚悟がうかがえる。

昨季は正捕手で前半戦の快進撃を支えた。だが、9月、10月は打率1割4分、1本塁打、3打点と極度の打撃不振。優勝争い佳境のラスト11試合は、坂本にスタメンマスクを奪われた。「昨シーズンの前半と後半で打撃フォームが大きく変わることがあった。ある程度のものを固めていくのは大切」。振り込んで、フォームを固め、ポストシーズンまで息切れしない体力をつけることが一番の目的だ。ノーモア終盤の失速。1年を通して坂本との正捕手争いに勝つための相棒が、打撃マシンというわけだ。

得点圏打率はリーグ2位の3割2分1厘を誇ったが、打率2割2分5厘は最下位の32位だった。「打率を上げないといけない。打席内容にこだわったシーズンにしていきたい」。チャンスでの強さはそのままに、チャンスメークも増やす。

「もちろん目指すものは優勝しかない」。昨年、自身もチームも息切れし、勝率5厘差で優勝を逃した。国内FA権を行使せず残留したのも、17年ぶりのリーグ優勝を果たすためだ。打てる捕手になって歓喜の瞬間をグラウンドで迎える。【石橋隆雄】

◆昨季の梅野 3月26日ヤクルト戦で、5年連続開幕マスクをかぶり、3連勝発進に貢献した。東京五輪にも会沢(広島)に代わり日本代表として追加招集され、金メダリストに。だが、終盤は先発が打ち込まれたり、自身の打撃低調もあり、10月10日ヤクルト戦を最後に坂本に先発マスクを譲った。巨人とのCSファーストステージ第2戦で久々に先発マスクをかぶったが、敗れ終戦が決まった。ゴールデングラブ賞の連続受賞も3年でストップするなど悔しい1年になった。