西武の勝率5割復帰を決める“大勝負”は5分10秒に及んだ。7回に先発武内が1点差に迫られ、なお2死一、二塁。甲斐野央投手(29)がリリーフカーに乗り込んだ。「やるかやられるかの世界。割り切ってやりました」。打席にはロッテ西川。相手応援席のボルテージも最高潮だ。
初球、ボール。ここまで6ホールドも防御率3・60、1イニングあたり許す走者は平均1・7人。3連続与四球での無死満塁を「絶望のフルベース」と自虐したこともあるが「いい打者と対戦する時は自分の能力も上がると思う」と燃えた。3球を投げ終え、ピックオフで一塁へのけん制アウトを狙った。「ターンもきれに回れた」ものの惜しくもセーフ。「ネビンに空タッチだったって謝られました」。そこで勝負への集中がリセットされない。「そうなりがち(な状況)とは思います」。でも甲斐野には豊かな経験がある。
フルカウント。7球目は「(捕手小島)とも一致しました」と直球を選択し、158キロで空を切らせた。「楽しめましたよ。でもやってる時は集中してますし、雑音もシャットアウトで」。任務完了、3アウト。ふぅと息をつく甲斐野ではなく、一塁ネビンがパーンとミットをたたく。極限の集中が解けた。【金子真仁】



