まさか-。広島は勝ちパターンが崩壊し、8回に9失点。ヤクルトに逆転負けを喫した。

2-0の8回から2番手で登板した中崎翔太投手は3四球で満塁とし、村上の2点適時打で同点とされ、KO。急きょマウンドに上がった島内颯太郎投手も、押し出し四球を含む2四球1安打で3失点と流れを止められなかった。中崎、島内で5四球7失点。球団通算4500勝まで残りアウト5つだったが、メモリアル勝利はスルリと逃げた。

    ◇    ◇    ◇

球審の右手が上がらない。走者がダイヤモンドをゆっくりと歩くのを、ただ見つめるしかできなかった。2点リードの8回。中崎がチーム最多13試合目のマウンドに上がった。今季勝ちパターンに抜てきされた右腕に、2万4394人の鯉党が拍手で送り出した。勝利まであと2イニング。そこからの大量失点を誰が予想できただろうか。

1死から3連続四球で1死満塁。続く村上に2点適時打を浴び、同点とされ降板した。なおも1死一、二塁。勝ちパターンのもう一角、島内が緊急登板した。1人目の塩見を5球で歩かせ、1死満塁。続く長岡は4球で四球を与え、勝ち越し点を押し出しで与えた。

次打者オスナには真ん中低めの直球を中堅右にはじき返され、さらに2失点。点差は3点に広がった。島内は1つのアウトも取れず、2四球1安打3失点で降板。佐々岡監督は「(中崎と島内は)勝ち(パターン)の2人。当然そういう選手だから信頼して送り出した。失敗すれば僕の責任」と投手陣をかばった。

この回だけで3人目の黒原も2失点し、一挙9失点。19年8月29日巨人戦で10失点した以来の1イニング9失点。一部のファンが残念そうに背中を丸め、席を離れた。

ただ、やられたままでは終わらなかった。9失点の直後の攻撃では4連打で2得点。マクブルームの併殺打の間に、さらに1点返すなど、反撃姿勢は見せた。指揮官は「切り替えて頑張ります」と言葉に力を込めた。チームは29日から敵地で中日と戦う。本拠地での球団4500勝は逃した。1戦でも早いメモリアル白星を、ファンは待ち望んでいる。【前山慎治】

○…先発九里は7回3安打無失点も報われなかった。立ち上がりからストライク先行の投球。3回2死二塁で太田を空振り三振に取ると雄たけびを上げるなど、気合も十分だった。6回2死満塁のピンチも切り抜け、7回までゼロ行進。「長打のある打者も多いので、粘り強く最少失点でいけるようにという気持ちで投げていました」。好投も中継ぎが逆転を許し、自身2勝目はならなかった。

○…坂倉の2号先制2ランも空砲に終わった。0-0の4回。無死一塁からヤクルト高橋の145キロを捉えた打球は快音を残し、右翼席最前列に吸い込まれた。「1打席目真っすぐでやられてましたし、捉えることができて良かったです。うまく球のラインにバットがスムーズに出たので、良かった」。1回2死一、三塁で空振り三振に倒れた1打席目の反省を生かした。

▽広島中崎(2点リードの8回に登板も逆転を許して敗戦投手に)「あんな投球をして申し訳ない。最悪な投球をしてしまった。チームがいい戦い方をしていて、(先発)九里さんにも本当に申し訳ない」

▽広島島内(同点に追いつかれた8回1死一、二塁で登板も1安打2四球3失点で1死も取れず)「ゾーンの中で勝負しにいったけれど、うまくいかなかった。次にやり返せるように、しっかり投げていきたい」

広島ニュース一覧はコチラ>>