初物づくしで大勝だ! 広島は2年目の矢野雅哉内野手(23)が初スタメンで初安打初打点を決めた。さらにルーキー中村健人外野手(24)にも初適時打を含む初マルチ安打が飛び出すなど、若手の躍動が目立った。チームは今季最多12得点の大勝で連敗を2で止めた。GWの本拠地6連戦初戦を白星発進。3位は変わらないが、首位巨人に1・5差に迫った。

   ◇   ◇   ◇

矢野が拳を握った。2点を先制し、なお2死満塁の1回。巨人先発赤星の真ん中寄りの内角直球を狙い通りに振り抜いた。白球は快音とともに二遊間方向へ。中前に抜けるコンマ数秒前、初安打を確信した背番号61は、右の拳をグッと握った。「インコース甘めの真っすぐを狙って。それが中に入って、とらえられて良かった」。プロ初スタメンの起用に応える中前2点適時打。一塁上では左右の拳を握り、ほえた。

このチャンスをずっと待っていた。4月23日に今季初の1軍昇格。試合は途中出場2試合にとどまっていたが、チャンスが舞い込んだ。「1軍に上がって(スタメンは)まだかまだかと練習から取り組んできた。スタメンだからといって気持ちが高ぶるというのはなかった」。プロで初めて「8番三塁」のスタメン出場。1打席目に初安打で応えた。「打撃も守備も必死にくらいついてやるだけ。自分のプレースタイルは変えずにやりたい」。

初安打の記念球も受け取った。行き先は決まっている。「親に渡します。母に」。4日に来場する母に、感謝を込めて記念球を贈る。少し早いが母の日のギフト。「それ(記念球)が一番いいと思う。びっくりしていると思う」。スタメンの連絡もしなかった母にとびっきりのサプライズだ。

チームは矢野のプロ初安打を含む13安打で今季最多12得点の快勝。2位ヤクルトとゲーム差なしの3位は変わらないが、首位巨人には1・5差に迫った。矢野も「乗っていけると思う」と手応え十分。GW本拠地6連戦の初戦を大勝スタート。若手の躍動が今の広島には欠かせない。【前山慎治】

◆矢野雅哉(やの・まさや)1998年(平10)12月16日、大阪府生まれ。育英(兵庫)から亜大に進学。亜大3年秋には打率4割1分5厘で首位打者に輝き、遊撃手でベストナイン獲得。20年ドラフト6位で広島入団。遠投130メートルで50メートル走は5秒9。171センチ、70キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸600万円。

○…初登板の広島ターリーは9点リードの9回を無失点で抑えた。1死から岸田に右前打を許したが、最速154キロの直球などで後続を断った。「(9点リードで)試合に入りやすい環境だった。チームが勝てたことが一番。ホームスタジアムのファンの前で投げられて良かった」。この日出場選手登録された新助っ人左腕。今季本拠地最多の3万580人の前で堂々の無失点デビューを決めた。

○…広島末包はプロ初の一塁守備、韮沢はプロ初出場を記録した。末包は9点リードの9回から一塁に入った。「今まで準備はしてきたので、なんとか無事に終えられて良かった」。韮沢は8回1死で代打出場。二塁守備にもついた。初打席は四球で「思ったより緊張しなかった。今日のような代打から結果を残したい」。満員の本拠地でプロデビューし、満面の笑みを浮かべた。

【関連記事】広島ニュース一覧