敗れはしたものの、プロ初先発のロッテ佐藤奨真投手(23)が“らしさ”を存分に発揮した。

初回、オリックス福田、宗の連打で1点を先制されたものの(岡の失策があり自責点は0)、そこからが真骨頂。相手のタイミングを外しながら、凡打の山を築いた。「2回以降はいい意味でシンプルにフォームを修正できたのがよかったかなと思います」。本来のリズムを取り戻し、術中にはめた。

直球は全体の約3割にとどまり、その平均球速は135・1キロ。チェンジアップやスローカーブを巧みに使いながら、強い当たりを許さなかった。6回で90球を投げ、ハーフスイングも含めて奪った空振りは12個。球界を代表する本格派のオリックス山本由伸投手が奪った8回11個の空振りを、個性を存分に生かして上回った。

終わってみれば、以降は1本も安打を許さず。当初は5イニングを想定していた首脳陣も、6回まで託すほどの好投だった。「(試合)後半のような形で入りからいけたら、もっといい投球ができると思うので。次からそこを意識してやってみたいと思います」。佐々木朗が160キロ台を投げ込んだ翌日に、対極のスタイルで攻める先発候補が台頭した。【金子真仁】