最強の2番誕生! 阪神中野拓夢内野手(25)が「サイクル超え」の4安打4打点4得点で快勝を呼んだ。DeNA戦(横浜)に3戦連続の「2番遊撃」で出場。快音を重ね、三塁打を打てばサイクル安打だった6回、宮国から3号2ランを放って7点差とダメを押した。昨年は1本塁打の男が、人生初という1試合2本塁打。快挙は逃したが、チームの連敗ストップに貢献した。

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ハマスタで背番号51が大暴れした。三塁打を残してサイクル安打にリーチをかけて迎えた6回2死二塁の4打席目。3番手宮国との対決にファンも虎ナインもくぎ付けになった。

「ベンチにいる先輩に、サイクルを狙うチャンスは今しかないぞと言われていたので、4打席目からサイクルは狙っていました」

フルカウントから6球目。力強く振り抜いた。「人生で一番、手応えがありました」。完璧に捉えた打球は三塁打どころか右翼席中段まで飛んだ。サイクル安打を超える3号2ランに「欲を出しすぎてしまったかなと」と苦笑い。再び挑んだ9回は遊飛に倒れた。

快挙は逃したが、初の1試合2発で4安打4打点と打ちまくった。初回は右中間フェンス直撃の二塁打で出てマルテの犠飛につなげ、佐藤輝の二塁打で生還。3回は上茶谷から2号2ラン、5回は1死から中前打で出塁して生還と、5打席で4度ホームを踏んだ。

「追い込まれてから本塁打を打つことができたし、初球からもいい当たりのヒットを打つことができ、非常にいい打席内容だった」

1年目の昨季は1本塁打だったが、早くも3本目。プロ初の4安打で打率をチームトップの3割まで伸ばした。好調の秘訣(ひけつ)は「手」にある。4月上旬からストレッチやランニングで手のひらに収まる大きさのオレンジ色をしたリングを握っている。勧めた藤井康巡回打撃コーチによると「持っているだけで、体に自然と自分の4スタンス理論のタイプに適した軸をつくってしまう」というアイテム。西武時代、故障に悩んでいた菊池雄星(ブルージェイズ)も愛用した。同理論は体の使い方を4つに分類し、リングはタイプごとに形状が異なる。つま先内側に重心がある「A1」の中野はイチロー氏らと同じで、人さし指と親指で輪っかを作るように使っている。無意識下のバランス管理がプレーを支える。

チーム事情で4番を除く1番から7番に入り、16度の打順変更に対応している。2番の21試合が最多で、この日は1番近本とのコンビで7安打、7得点。「前輪駆動」が機能し、13安打、9得点の大勝を呼んだ。矢野監督は「拓夢も本塁打2本はすごい。3割にも乗ってたし、もっともっと高いところ目指してやってもらいたい」と絶賛。連敗を2で止め、4月に3タテを食らった得意の敵地DeNA戦で再び白星回収にかかる。【三宅ひとみ】

 

▼阪神中野拓夢が自己初の1試合2本塁打。新人だった昨季に打ったプロ初本塁打は神宮で、今季1号も神宮。通算4本塁打は、神宮と横浜で2本ずつ打っている。

▼1試合4安打も自己初。昨季12度、今季3度あった3安打を上回った。4打点も4月24日ヤクルト戦で記録した自己最多に並んだ。