阪神は疲労困憊(こんぱい)の敗戦から一夜明けたデーゲームで、3連敗を阻止した。先発アーロン・ウィルカーソン投手(32)が7回3安打無失点の快投で今季3勝目をあげた。打線は1回に3番ジェフリー・マルテ内野手(30)の中前適時打で先制。2回は約4年ぶりにスタメンマスクをかぶった8番長坂拳弥捕手(28)がセフティースクイズを成功させた。

前日20日巨人戦はナイターで5時間3分の激闘を演じた末、延長12回表に4失点して痛恨の敗戦を喫していた。どこか漂っていた重苦しいムードを、競り勝ちで吹き飛ばした。

◆矢野燿大監督一問一答

-9回はなんとか1点差の2死満塁をよくしのいで逃げ切った

矢野監督 「いや、もうしびれましたけどね。もう優(岩崎)を信じて。頑張ってくれっていう応援だけでしたけど。よく投げてくれました」

-ウィルカーソンは7回3安打無失点

矢野監督 「初登板の時もすごく良くて、その後は普通なのかなという感じでしたけど。今日は本当に初登板ぐらいの球のキレ、勢い、コントロールがあった。本当にリズムを作ってくれました」

-どこが1番良かったか

矢野監督 「変化球、チェンジアップが1番武器になる球種なんですけど。やっぱり真っすぐがいつもよりキレがあって多く使えたことで、変化球が生きたと思います」

-中5日での起用に応えた

矢野監督 「元々、中6日をあまりやっていない投手なんで。中5日の方がもしかしたらいいのかも知れないですけど。中5日でもよく投げてくれたというのはこれからにも生きるかなと思います」

-打撃陣ではマルテがチャンスで1本

矢野監督 「まだまだ本来の状態ではないと思いますけど。そういう1本から本当にマルテらしさ…つなぐであったり決めるであったり、そういう打撃をこれからもしていってもらいたいです」

-マルテは3安打

矢野監督 「打率もやっと2割ぐらいですかね(2割0分6厘)。まだまだ物足りないですけどね。走者をかえすという、1番本人も目指しているところをこれからもやってくれると思います」

-スタメンマスクの長坂はセーフティースクイズを決めた

矢野監督 「簡単なプレーではないんですけど、本当にしっかり初球で決めてくれました。盗塁もよく刺しましたし、こういう緊張感の中で9回守り切ったというのは、拳弥(長坂)もすごく自信になると思います」

-近本が20打席ぶりの安打など2安打2盗塁

矢野監督 「やっぱりうちの野球は近本にかかる比重というか、ポイントになる選手なんでね。チカが出るというのはこれからも大きくなっていると思う。どんどん出て走ってもらいたいです」

-明日は伊藤将が先発

矢野監督 「今日も全員で何とか取れたので、まず将司がしっかり投球してくれるというのが1番チームの大事な部分になりますけど、その中でも1点ずつしっかり取っていけるようにやっていきます」

-明日も前売りチケットは完売。ファンに向けて

矢野監督 「本当にこのようなチーム状況の中でも12球団で1番、タイガースファンの皆さんが球場に来てくれているというのは、僕たちも本当に感謝しています。そういう気持ちに応えたい、何とかいい試合を見せたい、そういう気持ちで明日もいきたいと思います。どうか明日からもよろしくお願いします」

-長坂をスタメン起用した意図は

矢野監督 「どこかでスタメンで使うチャンスというのはね。もともとファームに落ちた時も、何かが悪いというより、現状なかなか使うタイミングがなかったということなので。最初は途中(出場)からになるけど、どこかでスタメンで使いたいなというのはちょっとあった。昨日試合に出て落ち着いていた。緊張はしているんだけど、周りに変に感じさせないというか。俺も見た感じ、長坂は落ち着いてやっているなと感じたんで。そういうところで、今日は拳弥でいいんじゃないかってね」

-長坂は昨日の悔しさを感じながらのプレー

矢野監督 「それはメディアの方はそう思っているだけで、そんな余裕は多分ないと思う。今はもう目の前の試合に出られて、初めてスタメンで出るとなると、そんな余裕はないんじゃないかな。今はそれでいい。目の前のことを全力でやりながら、その中でいいタイミングでマウンドの投手のところに行けたり、盗塁をアウトにしたり、ワンバウンドを必死に止めたり。そういうのが広がっていった中で、責任がちゃんと出てきた時には、そういうことを考えていくことになるけど。今は自分のやれることを1つ1つどうやっていくかでいいと思う」

-9回のピンチを切り抜けたことも長坂にとって大きい

矢野監督 「やっぱり9回を守り切るというのは捕手の成長には必要なところなんで。最後の1個のアウトがどれだけ大事か。その中でワンバウンドを止めないと、とかいろんな不安というか、怖いこともよぎるけど。そういうところを最後まで乗り切ったというのは大きいと思う。あいつにとっても大きな1勝になるんじゃないかな」

-監督は以前、ウィルカーソンについて「捕手がリードしたくなる投手」と話していた。今日は捕手が代わったが

矢野監督 「そうやね。左打者の外のスライダーとか、そういうのをいつもより使っていたのかなという感じに見えた。組んでる捕手でちょっとリズムが崩れたり、落ち着きがなかったり、合ってないなとなるケースはあるんだけど。今日も首を振るところはあったけど、ウィルカーソンが気持ちよさそうに投げられているというのは、見て分かった。良かったと思います」

-いろんな球種でストライクを取れる、幅の広い投球だった

矢野監督 「そうやね。すべてのボールが決め球になるというね。そういう意味ではウィルカーソンをリードする上では、捕手は面白みがあると思う。真っすぐというのは、基本は押しておかないといけない。押すところがないと引けない。そういうところでは今日はしっかり押すボールに強さがしっかりあったことが1番大きいかなと思います」

-糸井がセーフティースクイズで三塁から好走塁

矢野監督 「右翼線のプレー(守備)もそうやし、嘉男(糸井)も全力で走るということをやってくれている。ああいうケースも簡単そうに見えるけど、それほど簡単なものではないんで。しっかり走ってくれたというのは大きいかなと思います」

-大阪タイガースのユニホームで初勝利

矢野監督 「伝統というのは、いろんな先輩方がいて、球団が長い間チームを持って、タイガースファンの皆さんといろいろ関わってできてくる。このユニホームを見て何か感じられる方もいられるでしょうし、その中で、このユニホームで勝てないより勝った方が気分もいい。いろんな方に僕らの気づかないところでも楽しみというか喜びというか、そういうものをこういう伝統のユニホームを着て戦う上ではあるんじゃないかなと思います」

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