楽天が秋田のヒーローに勝利し、首位ソフトバンクに0・5差に迫った。

地元・金足農出身の日本ハム吉田輝星投手(21)のプロ初めての凱旋(がいせん)登板。チーム5年ぶりの秋田開催にもかかわらず、スタジアムにはアウェーの空気が漂っていたが、5回に3安打を集中し、吉田をKO。投げては則本昂大投手(31)が貫禄の6回2/3を3安打無失点。投打になまはげばりの迫力を見せつけ、勝利をもぎ取った。

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則本がなまはげのように、マウンド後方で仁王立ちした。深く深呼吸し、気合を入れた。眼光鋭く打者をにらみ付けた。“ホーム感”のない球場。試合前のメンバー発表では、吉田の名前がコールされると、大きな歓声と拍手が起こった。「秋田が彼を待っていたので、それに負けないように」。東北の球団でプレーする選手として、気迫十分に腕を振った。1、2回と安打を浴び、2回まで45球。「スライダーとカーブが良くなってくれて、なんとか粘れた」。序盤こそ苦しんだが、3回以降はしっかりと立ち直った。

エースが好投し、打線の援護がほしい-。わらにもすがる思いに応えたのは、5回だ。バットを手にした男たちが、次々と吉田に迫った。先頭の銀次が中前打で出塁すると、続く辰己が四球。西川が犠打で送り、1死二、三塁。太田がカウント1ストライクから外角高め141キロ直球をはじきかえし、中前への2点適時打。スタンドからため息が漏れる中、太田はベンチへ向かって右手を突き上げた。最後は武藤の右前打で、“秋田の星”をマウンドから引きずり降ろした。

この日の観衆1万7128人。満員のスタジアムには歓声とため息が混ざり合い、なんとも言えない空気が漂った。石井GM兼監督は「吉田くん効果もあったのかもしれないけど、秋田の方がそういうイベント事として楽しみにしてくれれば。なかなか来られてなかったけど、うちにとっては大事な県なので。勝ちも見せられて良かったなと思います」と11カードぶりの初戦勝利に浸りながらも、秋田のファンの複雑な心境に「うちが勝って良かったのかな。分からないけど」と笑顔でうなずいた。【湯本勝大】

 

○…太田がエースを援護した。0-0で迎えた5回1死二、三塁で迎えた第2打席。「連敗もしていた。ムードが良くない雰囲気になってしまうので、どんな形でも絶対に1点取ろうと思って打席に入った」と中前へ2点適時打を放った。守備ではロースコアの戦いだったが、則本ら投手陣を好リード。無失点リレーでの勝利に貢献した。

○…秋田での5年ぶり11回目の主催試合は、チームにとって3年ぶりの仙台以外の東北での主催試合となった。ここ2年はコロナ禍で開催を見送ってきただけに、チケットは早々と完売した。22日は3年ぶり16回目の岩手・盛岡、7月5日は青森・弘前で3年ぶり4回目の開催。チームは試合後にバスで盛岡へ移動とハードな日程だが、盛岡名物の冷麺をすするがごとく、22日もBIGBOSSをのみ込む意気込みだ。

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