1カ月ぶり白星。広島森下暢仁投手(24)が7回9安打4失点と苦しみながらも、5勝目をマークした。

立ち上がりから失点を重ねるも、打線の援護と持ち前の修正能力で立ち直った。5月21日中日戦以来の勝ち星で、自身の連敗を4で止めた。1分けをはさんで4連勝となったチームは勝率5割復帰に王手をかけた。

   ◇   ◇   ◇

約1カ月ぶりの勝利に、笑顔はなかった。自身4連敗中だった森下は、この日も2回に3連打から2点を先制されると、5点の援護点をもらった3回は先頭への四球から失点した。再び先頭への四球から失点した7回まで3者凡退は2度のみ。毎回のように走者を出しながら何とかリードを守り抜き、7回9安打4失点で5月21日中日戦以来の5勝目を手にした。

「野手に打ってもらって勝った試合なので、次はしっかりと抑えられるようにしたいです」。

安堵(あんど)感はあっても、満足はない。5月28日ソフトバンク戦から4連敗。この日も3回まで球数50球を要して失点を重ねた。本来の投球ができない中でも、持ち前の修正能力で試合をつくった。真っすぐとチェンジアップを軸にしながら4回以降は7回まで1失点。DeNAの反撃をかわした。「今日も、勝ったけれど、内容は変わっていない。しっかりゼロで抑えられるようにしたいです」。白星をつかんだ喜びよりも、反省や悔しさの方が大きかった。

結果に一喜一憂などしない。好投を続ける時期でも常に反省と課題を口にしてきた。甘いマスクの裏には、人一倍の負けず嫌いで向上心の塊、そしてチームの主戦としての自覚を宿す。「本当にチームのためにもっと頑張りたい。自分だけふがいないピッチングをしているので、しっかりしたいです」。胸の中に残る自身への怒りを次回登板にぶつけたい。

チームは24日の大瀬良に続き、連敗が続いた主戦2投手に白星が付き、引き分けを挟み4連勝となった。勝率5割復帰にあと1勝。佐々岡監督は「ピッチャーというのは1つ勝ちが付けば、メンタル的にも変わってくるでしょう。この1勝というのはチームにも当然ですけど、森下にとって大きなものだと思います」と久々の白星がきっかけとなることを期待した。【前原淳】

○…栗林良吏投手が9回を2三振を含む3者凡退で1点を守り抜いた。味方がチャンスを生かせず、流れがDeNAに傾く中での登板だった。先頭楠本を見逃し三振に切ると、3番佐野を二ゴロ。4番牧は空振り三振。23日阪神戦はプロ初の3連投で失点しセーブ失敗。ベンチ入りを外れた前日24日をへて、火消し役をまっとうした。「阪神戦も上位打線にやられているので、先頭から集中して、ギアを上げて入りました」。完全投球で15セーブ目を挙げた。

○…3戦連続スタメンの中村健人外野手が決勝打を放った。同点に追いついた3回。なおも2死満塁から粘った末の8球目内角低めを右翼線に落とした。「甘い球が来るまで粘ってやろうと思ったので、その結果が最高の結果になって良かった。ストライクだったら(バットに)当ててやるって思いで入ってたので、それがいいところに飛んでくれたと思います」。2戦連続打点で勝利に貢献した。

【関連記事】広島ニュース一覧