西武栗山巧外野手(38)が“隠れた大記録”を達成した。初回の右前適時打と、8回の2号2ランで、史上12人目となる「同一球場での通算1000安打」をマークした。プロ21年目の昨季、球団生え抜き初となる通算2000安打に続き、新たな勲章を手にした。西武一筋、変わらぬ本拠地で3打点の活躍で、チームを今季2度目の4連勝に導き、首位ソフトバンクに3ゲーム差に詰め寄った。

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確信歩きの1発が、1000回目のHランプ点灯となった。栗山は8回1死一塁。カウント3-1の打撃カウントから甘く入った直球を見逃さなかった。本拠地の右翼席へ飛び込む打球を見届けダイヤモンドを1周。ベンチでハイタッチを終えると、グラウンドに一礼した。初回の右前適時打に続く2安打で「同一球場での通算1000安打」を達成。メモリアル弾は「こりゃ、いったな」という確信の感触だった。

西武一筋だからこそ、たどり着いた“隠れた大記録”だった。FA権を取得し、同僚が移籍を選択する中で残留の道を選んだ。今のベルーナドームに通い21年目。球場ではバックネット裏のスコアラー室の窓を鏡代わりに、バットを振ることがいつの間にか日課になった。スイングの軌道や細かな確認からユニホームの「シワのより方」など着こなしまで、チェックする。

いいことばかりではない。ホームで後ろを向いたこともあった。18年のシーズン終盤。チームの快進撃をよそに、打撃不振に陥った。試合前練習、バットを短く持った。「長く持てなくなっていたんですよ。それくらい悪い方にはまっていた」と珍しく弱気になっていた。「でもそこで和田さんが、ズカズカとグラウンドにやってきて言われたんですよ」。元西武の先輩和田一浩氏から「何ちまちまバット振ってんだ!? バットを長く持て!」と一喝。するとその試合、満塁弾。「これじゃアカンなって思わされましたわ」と今では前を向くための教訓にしている。

慣れ親しんだベルーナドームで1007試合目。05年4月12日、日本ハム江尻から二塁内野安打の本拠地初安打から6286日。当時のインボイスSEIBUドームから名称が5度変更。21歳だった栗山は38歳。りりしい顔のシワも少しだけ深くなった。追究すればするほど極みの道を険しく感じる野球道。でも「毎日発見があって課題がある。次の日に球場来た時にやろうと思えるか、毎日その繰り返し。最近は難しいと思いながらも、バッティングおもしろいなと思ってやっています」。愛着の深いホーム。次なる一打のために打席に立つ。【栗田成芳】

▽西武辻監督(8回1死一塁で2ランの栗山に) 栗山が見事。引っ張って一、二塁間破ってくれないかなと期待をしたところでのホームランだったんで、これ以上にない大きな2点になりました。

▽西武松本(6回6安打2失点で5勝目) 援護点をいただけたんで、1人1人アウトを取っていく気持ちで投げました。

▼栗山が2安打を放ち、ベルーナドームでは通算1007試合の出場で1000安打に到達。同一球場の最多安打記録は野村克也(西武)が大阪球場でマークした1465安打で、同一球場で1000安打以上は、史上12人目。ベルーナドームで記録したのは栗山が初めて。

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