M53ヤ!! ヤクルトが延長サヨナラ勝ちで、2リーグ制後最速となる優勝マジック「53」を点灯させた。同点の延長10回1死満塁、塩見泰隆外野手(29)がプロ初のサヨナラ打となる三塁への内野安打を放ち、熱戦に終止符を打った。塩見は8回にも同点の適時打を放ち、この日の全得点をたたき出した。リーグ1位の得点圏打率を誇るリードオフマンに導かれ、このまま優勝まで突っ走る。

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「燕ファミリー」のけん引役・塩見が底力を発揮した。10回1死満塁、カウント3-1からの伊勢の5球目、真ん中低め150キロ直球をたたきつけた。大きく弾んだ打球は三塁への内野安打に。勝利を決め、仲間から歓喜のウオーターシャワーを浴びると、山田、マクガフらと抱擁。村上ともグータッチを交わした。

チームをけん引する不動の1番打者は、1点を追う8回2死一、二塁では浜口から同点適時打を放っていた。この日の全2得点を挙げたヒーローは、お立ち台で素直に喜んだ。

「最っ高にうれしいです。もう本当に家族のようなチームで、毎日毎日クラブハウスにくるのが楽しみで。雰囲気もとてもよくて、本当にいいチームだと思います」

プロ初のサヨナラ打の前には1学年上の“山田兄さん”からパワーを授かっていた。打席に行く前に「『僕サヨナラしたことないんです』って言ったら『じゃあ俺がパワーあげる』って握手しました」。見事に勝負を決めると「『ほら、俺がパワーあげたおかげだ』って言ってもらいました」と笑った。クラブハウスではプライベートから野球の話まで、先輩、後輩関係なく打ち解けているが、いざグラウンドに入れば真剣な声が飛び交う。グラウンド内外での雰囲気の良さも、ヤクルトの強さの一因だ。

2位巨人が敗れ、リーグの貯金を独占。13・5ゲーム差の1強状態だが、油断はない。お立ち台で「優勝」について水を向けられても、「それはまだ分かんないんですけど。これから本当に何があるか分からないんで。目先の1試合、また明日、全力でチーム全員で向かっていく気持ちでやっていきます」と引き締めた。

リーグトップ20盗塁を誇るリードオフマンは「次ああいう場面が回ってきたら、もうちょっとしっかりしたヒットを打てるように頑張りたいと思います」。この日の活躍で、こちらもリーグトップの得点圏打率は、3割5分5厘から3割7分5厘まで上昇した。これからも勝負強く「燕ファミリー」の先陣を切り開く。【鈴木正章】

▽高津監督(マジック53点灯に)「ほんとにピンとこないですね。53か…。いい戦いが出来ていると。投打ともに粘って、つないで、我慢して。歯を食いしばってという野球が出来ていると思います」

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