「マイナビオールスターゲーム2022」(26日=ペイペイドーム、27日=松山)のファン投票最終結果が6日に発表され、ロッテ佐々木朗希投手(20)が30万4034票でパ先発投手部門で1位に輝き、初選出された。プロ3年目で完全試合を達成した最速164キロの令和の速球王は、紛れもなく今季の球宴の主役。何を見せるか。ファンやライバルに何を感じさせるか。そして史上最速が生まれるか。いよいよ、日本球界のど真ん中で輝く日が来る。

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テレビカメラに囲まれた佐々木朗希の目が輝き、口角が上がった。これぞスターの表情。「選んでいただいてすごく光栄ですし、まさか自分がという気持ちです」。30万4034票に感謝し「ピッチングで感謝の気持ちを伝えて、自分の持っているパフォーマンスを最大限発揮できるように」と夢舞台を思った。

言葉をおろそかにしない20歳は、どんな「最大限のパフォーマンス」を見せるか。ファン投票1位の通例通り、第1戦のペイペイドームで投げるとすれば、自己最速164キロを投げているマウンドだ。エンゼルス大谷は日本ハム時代の14年に球宴で162キロを投げた。巨人ビエイラは昨年、163キロを投げた。当然、最大の注目はそこに。

「そうですね、えー、特に、更新したいという気持ちはないですけど…」

慎重な前置きをしつつも、続く言葉には新たな伝説誕生を予感させた。

「自分の持っているものをしっかり発揮すれば、そういったところは抜ける可能性もあると思うので。まずはいいコンディションで自分の投球ができたらなと思っています」

いつもは列島で6試合あるプロ野球も、その日は1試合のみ。球速更新は。連続三振はいくつに。「イニングも短いと思うので、1人1人集中して」という背番号17を、絶対に見逃せない。ファン投票で選ばれたスターたちでさえ、その名を口に出す。球宴常連のレアードは、佐々木朗と松川に「These Guys!」と手を向けた。“こいつらを見ろ!”と言わんばかりに興奮気味に英語で紹介した。

技術と魅力が結集するオールスター。ひしめく1等星の真ん中で、ひときわ輝くシーンが想像できる。球宴の思い出を問われると「新庄監督のホームスチール…あれかなと思います」と笑った。人々の鮮烈な記憶を塗り替える可能性、十分。プロ野球を照らす太陽になる。【金子真仁】

○…佐々木朗が再始動した。1日の楽天戦(ZOZOマリン)で4回10奪三振の快投を演じながら、右手中指のマメがつぶれ途中降板。2日に登録抹消となっていた。この日は試合前、外野フェンスに向かって7メートルほどの壁当てを約10分間。2日以降、初めてボールを使った練習を公に見せた。「順調に回復しています」と現状を説明し、球宴出場についても「大丈夫だと思います」と明言した。

★オールスターの球速 21年ビエイラ(巨人)がマークした163キロが最速。メットライフドームでの第1戦で、163キロを4球計測した。日本人最速は14年大谷(日本ハム)で、甲子園での第2戦に先発して162キロを2球マーク。他に160キロ以上を計測したのは、08年クルーン(巨人)の161キロがある。

★球宴の伝説あらかると

◆9者連続K 71年江夏(阪神)が9者連続三振の快投。江夏は3ランも打ち、全セは継投でノーノー。

◆代打のひと振り 74年高井(阪急)は1-2の9回に代打で逆転サヨナラ2ラン。球宴での逆転サヨナラ弾は史上唯一。

◆3打席連発 78年掛布(阪神)がマーク。1試合3発は同年ギャレット(広島)もいるが、3打席連続で記録したのは掛布だけ。

◆4盗塁でMVP 97年松井(西武)は3、5回に2盗塁し、史上初の1試合4盗塁。セの名捕手・古田を相手に快足披露。

◆単独本盗 04年新庄(日本ハム)が福原-矢野(阪神)のバッテリーの隙をついて本盗。単独でのホームスチールは球宴史上初。

<朗希の握り2022>

◆164キロ 大船渡高時代にマークした自己最速163キロを、今季初登板の3月27日楽天戦でいきなり更新する164キロ。球場中がぞくっと沸いた。

◆完全試合 4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)でNPB史上16人目の完全試合を達成。付けいる隙のない投球は「1試合19奪三振」「13者連続奪三振」と他の記録もまぶしつつ、技術が凝縮された極めて濃厚なマウンドに。

◆幻の2試合連続 さらに4月19日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で8回までパーフェクト。2試合連続か!?と思われたが、8回を終えてお役御免に。

◆150キロフォーク 魔球フォークが4月24日オリックス戦(京セラドーム大阪)でついに150キロに到達。挟んで握って、強烈に落としていった。

◆1発 今季10試合目となった6月3日巨人戦(東京ドーム)で、巨人岡本にぴりりと辛い今季初被弾。