ロッテは3年ぶりにCS進出を逃し、吉井理人新監督(57)の下、来季の巻き返しを図る。昨秋ドラフト3位で入団した広畑敦也投手(25=三菱自動車倉敷オーシャンズ)は今季、リリーフで30試合に登板した。社会人野球出身で発信力も強いルーキー右腕は、プロ野球選手1年目に何を感じたか。日刊スポーツのオンラインインタビューで思いを話した。全2回の後編をお届けする。

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広畑は社会人野球とプロ野球の違いを「決定的に違うのは、毎日結果を出さなきゃいけないところ」と、まずは端的にまとめた。

「仕事って長期的に見たりできる部分もあったりするので。会社のミスはあとから取り戻せるものがあるにしても、1敗は取り戻せないので」

広畑いわく「がっつり社会人やっていたと思います」という。社員食堂がいくつもある広大な工業地帯で働いた。

「フレックスタイムで、僕は(午前)6時半から(午後)3時半のフルタイムでした。文書管理や工場見学のパンフレットを作ったり。あとは市役所に出向いて法律や条例の申請とかを行っていました。残業もあったりで」

野球の練習はそこから始まった。

「練習も夜8時すぎには終わるんですけど、洗濯とかしてたら9時、10時になってしまうので、そもそもテレビをあまり見る時間がないなって感じですね」

ドラフト指名後にロッテのCSをテレビ観戦する時間さえ、なかなか取れなかったという。それでも限られた時間を最大限に生かしながら、並外れたバイタリティーでこなしてきた。

プロ入り後もSNSを活用しつつ、個性をアピールする。「人としゃべるのが大好きな人間」という性格。外国人選手とも積極的にコミュニケーションを図り、シーズン終盤にはロベルト・オスナ投手(27)らと試合前にキャッチボールをするシーンも見られた。オスナは割と、全力で投げていた。

「しかもツーシームとかシンカーとか、えげつない球をあの短い距離で投げてくる。本当に死ぬかと思いましたね。真っすぐって言ってるのにシンカー投げてきたり」

外国人選手と野球をプレーするのは初めての経験。それでも臆することはなかった。

「職場には台湾やフィリピンの方々もいたので。ズーム会議とかチームス会議とかで海外の方々としゃべったり。海外事業部もあったので、仕事で会話をすることもありました。でもやっぱり、しんどいと思うんです。言葉の壁は。プロ野球の世界は通訳で助かってる部分もあると思うんですけど、選手同士で絡むとなると、こっちから行ってあげないといけないんじゃないかと思いますし」

積極的ゆえ、得られるものもあった。オスナは自信を深める言葉をくれた。

「マウンドでは自分が一番だと思って投げなきゃいけない。マウンドに上がったら俺が一番だ、というのをすごく言われて。自分も思ってた部分もあったんですけど、彼が言うならやっぱりそうだなと。心に響いたところです」

今年は持ちうる力を全て出し切れなかった。「社会人時代の方が全然いい直球を投げてるなというのは、動画を見たり、周りの人に言われたりするので」。だから自己分析も「(チームの)皆さんは、本当にいい投手で。自分にはこれという武器がない。勝ちでも負けでもいつでもいけますよ、というのが自分の強みかなと思います」と至って冷静だ。

ただ、それは広畑敦也の本質にリンクしている部分でもある。

「投げられるのが一番楽しいので。たくさん投げたい」

イニングごとに、帽子をとって一礼してからマウンドの土を踏んだ。投げられるのが楽しい。しゃべるのが楽しい。晴れの国、岡山生まれ。陽のオーラを、2年目にますます発したい。【金子真仁】

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