「令和の怪物」が侍ジャパンデビューを果たす。佐々木朗希投手(21)が8日、「侍ジャパンシリーズ2022」として行われるオーストラリア2連戦(札幌ドーム)の前日練習に参加。栗山英樹監督(61)からは本大会の1次ラウンド(東京ドーム)で同組となる相手との10日の先発マウンドを託された。札幌ドーム初登板で、来季から日本ハムの本拠地移転に伴って最初で最後の登板になる可能性がある。背番号11を担う若武者が日の丸を背負う覚悟を示した。

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佐々木朗希が足の裏で踏み締めるように、札幌ドームのマウンドを確かめた。立ち投げで18球、黙々と捕手の中村に投げ込んだ。「高さや硬さは特徴があると思うので、そこはちょっとだけ確認できた」と本番のイメージを膨らませた。

背番号11の系譜を継ぐ。ロッテでは17番を背負うが、今シリーズでは11番を身にまとう。札幌ドームでは、パドレスのダルビッシュ有やエンゼルスの大谷翔平と、その名をとどろかせた2人が北の大地の「背番号11」で躍動してきた。大谷が16年のCSで日本人歴代最速165キロを計測したのもこの場所。現在、最速164キロの佐々木朗にも記録更新の期待も高まる。

WBC使用球への適応も順調に進んでいる。「ストレートはそこまで変わらずに投げられている」と手応えがある。変化球はやや違いを感じるが「捕手を座らせたら良くなる部分もあると思うので、早くその感覚をつかみたい」と言った。

ホテルではつかの間のリフレッシュも楽しんだ。U18日本代表でチームメートだった同学年のオリックス宮城と卓球対決。160キロ超の剛速球で押す本格派スタイルの野球とは打って変わって、技巧派スタイルを披露。回転をかけて相手のミスを誘う“カットマン”スタイルで器用に立ち回って勝利を収めた。充実した心と体で侍デビュー戦へ準備も万全だ。

そのデビュー戦の相手に、栗山監督は日本ハム、巨人ではなく、あえてオーストラリアを選んだ。本人にとって未知となる打線に対し、どんな投球を見せるのか。WBC本戦も見据えた判断とみられる。「ストレートとフォークがメインになると思う。その中で打者を抑えていけるように」と佐々木朗。怪物が真っ向勝負でポテンシャルを示す。【小早川宗一郎】

▽日本甲斐(来春WBC1次ラウンドで同組のオーストラリア2連戦へ向けて)「来年につながる試合にもなると思う。いろんなものを僕も吸収できるように、また栗山監督の野球も吸収できるような2試合にできたら」

▽日本山崎颯(WBC球について)「ちょっと僕は滑る感じはありました。時間はないですけど、キャッチボールで慣れさせながらやってます」