日本ハム伊藤大海投手(25)が8日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季年俸4100万円から2倍超となる4400万円増の8500万円でサインした。あこがれの存在、パドレス・ダルビッシュ有投手(36)が来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場を決断。「一緒にプレーしたい。いろんなことを聞いてみたい」と、同じ北海道から羽ばたいた先輩投手との共闘と“ダル塾”入塾を思い描いた。(金額は推定)

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2年連続の2ケタ勝利を挙げた伊藤の次は目標は、ダルビッシュのようなオーラを放つことだ。手本としてきた日本ハムの先輩がWBC参戦を表明。伊藤は「もちろん僕も選ばれ続けたい気持ちもありますし、一緒にプレーしたいという思いが強くなった。いろいろ聞いてみたい」。09年のWBCでは投手陣の軸として日本の連覇に貢献した偉大な投手に直接会い、バージョンアップにつなげる。

色紙に記した来季目標は「支配者」。今季はオリックス山本、ソフトバンク千賀と、日本を代表する投手に投げ勝ったが、納得はしていない。「力を引き出してもらい僕が食らい付いた感じ。徒競走で隣の人が速かったから速く走れた、みたいな。これからは逆の立場になりたい」。そのためにも“ダル塾”に入塾し、世界で活躍するためのタフな思考に、接近する。

今季9月2日楽天戦では、ダルビッシュの動画に学んだ改造版カットボールを用いて、2年連続の2ケタ勝利に乗せたが、課題も見えた。10勝9敗という成績に「負けている場面で周りを不安にさせる表情をしていた。もっと自分のキャパを広げて何でも受け止められるように。大きな海のようになりたい」。師匠との対面授業で、不利な場面でも、立ち振る舞いや雰囲気で空気を変えられる屈強なメンタルを、築き上げる。

新球場で迎える3年目に向け「チームで一番勝つ。絶対的エースになる。誰もが伊藤なら大丈夫と思ってもらえるような結果、たたずまいであり、興味を持ってもらえるようなアピールができる1年にしたい」。大海が投げれば負けない。23年は、ダルビッシュのような強烈なけん引力で、頂点へ導く。【永野高輔】