日本ハムのドラフト1位、矢沢宏太投手(22)が投手として満点デビューを果たした。

オリックス戦(京セラドーム大阪)の8回に中継ぎで1軍初登板。1イニングを2奪三振を含む3者凡退に抑えた。これで外野手としてチームの戦力となっている二刀流ルーキーが、ついに中継ぎ投手としても本格始動。打って守って抑える“矢沢流”の第1歩を踏み出した。

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投手矢沢が1軍でベールを脱いだ。開幕2戦目に外野手矢沢での初出場に続く、2度目の“デビュー戦”は4-10と大量リードを奪われていた8回。「久々のピッチャーでの出場でしたけど、楽しかったです」。谷内や清水から「楽しめ」と背中を押された矢沢は先輩の助言を体現して、完璧な結果を残した。

先頭の宜保は直球でファウルを打たせて追い込み、最後はスライダーで一ゴロ。続く代打広岡には初球の真っすぐの後はスライダー攻めで空振り三振。茶野には直球とスライダーを交互に投げ、3球目にはこの日の最速となる148キロをマーク。最後はスライダーで空振り三振を奪った。テンポよく、13球を投げて抑えた1イニングに要した時間は5分。新庄監督も「いいものを見せてもらいました」と合格点を与えた。

現状は外野手として1軍戦力となっている中で、投手としてはブルペン投球を1カードに1度を基本として取り組んでいる。今カードは初戦の19日に実施。投球練習日は基本的に野手出場もしないという今の“矢沢ルール”に沿って、首脳陣は大量点差の試合展開で投げさせるプランを開幕当初から掲げていた。そのタイミングが4月までに訪れず、2軍戦での登板を挟んだが、ついに諸条件がそろって1軍のマウンドに立つことができた。

実戦登板は2日イースタン・リーグ西武戦(1回1安打2四球2失点)以来だった矢沢は「2軍戦で投げられたのが今回の投球につながった」。反省点だった制球面を意識して快投は、誰も歩んでいない“矢沢流”の今後の可能性を広げた。新庄監督は「もう1回くらい点数に余裕のある時に、今度は勝ちゲームで投げさせてみたい」と、次の登板条件を設定した。目指すのは野手スタメンからの中継ぎ登板で勝利に貢献する形。1歩ずつ着実に“矢沢流”を完成させていく。【木下大輔】

 

▼新人の矢沢がプロ初登板。矢沢はすでに野手で25試合出場しており、ドラフト制後(66年以降)に投手と野手で出場した新人は68年永淵(近鉄)13年大谷(日本ハム)に次いで3人目。永淵は109試合出場し12試合に登板、大谷は77試合出場し13試合に登板した。

〇…日本ハム先発鈴木が2回2/3を6安打5失点でKOされ、2敗目を喫した。ローテ再編で、10日ソフトバンク戦から中5日で16日西武戦、さらに中4日でこの日の先発。徐々に間隔が詰まる中で調整し奮闘も、3試合連続で5回持たず「修正できずに、その後も引きずってしまった。早い回に交代することになってしまい中継ぎ陣とチームに申し訳ない」と反省した。

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