警視庁麻布署は23日、強制性交の疑いで西武山川穂高内野手(31)を書類送検した。昨年11月、港区のホテルで20代女性に性的暴行をした疑い。麻布署によると、起訴を求める「厳重処分」ではなく、判断を検察に委ねる「相当処分」の意見が付けられての書類送検となった。

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若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長) 書類送検で相当処分の意見書なのは、双方の主張が食い違っている上に、必ずしもしっかりした証拠が集まらなかった可能性がある。示談が成立していることも考えられ、強制性交容疑の事件で示談が成立すれば、検察は多くの場合、起訴猶予の処分とする。示談できない場合でも、有罪にできる証拠が集めきれない場合、嫌疑不十分で不起訴になる可能性が高い。検察の判断は通例なら3カ月前後で下されるが、早ければ6月中にも決まる。今回のケースは、9割以上起訴されないのではないか。

2017年の刑法改正で親告罪ではなくなり、示談が成立しても起訴はできるが、示談書に被害者側から厳しい処分を求める文言を書き込めば、多くの場合、示談は成立しない。被害者が不起訴処分に納得できず厳しい処分を求めるなら、検察審査会や民事訴訟に訴えることもできる。ただ、示談が成立していれば、多くの場合、示談書に刑事、民事で今後争わないという文言が盛り込まれる。

刑事事件として起訴された場合、西武として解雇することもあると思うが、不起訴なら、解雇できるかは難しい。西武の今後の判断も注目だ。

国会では、刑法改正の議論が進められている。強制性交罪を不同意性交罪にする案が審議されている。改正された場合、今回のようなケースも起訴する可能性がでてくると思う。ただ、今回の事件を判断する検察官は現行法で判断することになる。