阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)は一切ひるまなかった。1点を追う7回1死一、二塁。2打数無安打で迎えた3打席目、生命線の積極性を前面に押し出した。

「自分の持ち味を消す方が怖い。持ち味をどんどん出していくには凡打でも仕方ない。個性をつぶさないように、自分のプレーを貫いた」

初対戦となる鈴木康の初球、外角134キロスライダーを振り抜いた。三遊間を抜く同点打。キャッチボールを始めていた先発桐敷の肩の力を抜かせた。

2戦ぶりに「6番右翼」で先発し、復刻ユニホームを着た「伝統の一戦」で放った巨人戦初安打。今季最多4万2615人の観客の大歓声を呼び込み、木浪の勝ち越し犠飛につなげた。

「こういう特別なユニホームを着てやれることは光栄ですし、こういうユニホームを着て、新たに自分も心を入れ替えて野球に取り組める。明日も打っていきたい」

岡田監督は「いい時に(ヒットが)出てるよね。集中打で。チャンスらしいチャンスは、あの回だけだから。やっぱり打てば打点になる打順やし、今は」とルーキーの一打に満足げ。ただ、もちろん慢心はない。

2試合ぶりの「6番右翼」。前日25日にはミエセスが1発でアピールしており、激しい競争が続いている。「まだ固定されていないので、固定されるくらい結果を出して、チームの勝利に貢献したい」。お立ち台で「まだ慣れていないです」と本音を語ると大歓声。初々しくも頼もしいルーキーの一打が6連勝を呼び込んだ。【波部俊之介】

■木浪 続いた決勝犠飛

木浪が決勝犠飛を放った。1点を追う7回に森下の適時打で追いつき、なお1死満塁で代わったばかりの高梨から左翼へ飛球。三塁走者の佐藤輝が本塁に滑り込んだ。「何とか事を起こしたかった。レフトフライなんですけど、テルもよく走ってくれて感謝です」。好守でチームを救った前夜に続き今度は打撃で6連勝に貢献した。

■佐藤輝 激走V生還

佐藤輝が激走で桐敷にプロ初勝利をプレゼントした。7回1死一塁で巨人鈴木康から左前打を放ち、チャンス拡大。その後、森下の適時打で同点とすると、1死満塁で木浪の打席の場面だった。左翼へのフライを打ち上げると三塁走者佐藤輝はタッチアップで生還。間一髪で勝ち越し点をゲットした。「ああいう展開だったので藤本コーチもいくぞって言っていたので、思い切って走りました」と振り返った。

■梅野 攻守アシスト

梅野が好リードで桐敷のプロ初勝利を支えた。オフの自主トレをともにし、シーズンへの準備を整えてきた後輩。「なんとか引っ張ってあげたい」と攻守に思いを込めた。「一番はまっすぐが良かった。まっすぐが切れていた」。打撃でも7回、森下の同点打のあとに左前打で続き、木浪の決勝犠飛につなげた。

■中野14戦連続安打

中野が連続試合安打を14に伸ばした。得点にはつながらなかったものの、2試合連続でマルチ安打をマーク。接戦の中、じわじわと巨人投手陣を苦しめた。「苦しい展開だったんですけど、なんとか勝ち越して。桐敷がよく投げていたんで、なんとか逆転してあげたいという気持ちもあったんで」と好投した桐敷をねぎらった。

■ノイジー強肩さく裂

ノイジーが自慢の強肩でピンチを救った。3回2死三塁から坂本に左翼フェンス直撃の適時打を許したが、左翼手ノイジーがクッションボールを素手でキャッチし中継の遊撃手木浪へノーバウンドで返球。二塁ベースカバーに入った二塁手中野につなぎ打者走者坂本を刺した。「ゲーム序盤だったので、何とかひとつでも多くのアウトを取ることが大事」と好守備で6連勝に貢献した。