ナカジマジックがさく裂した。2位オリックスが終盤7回に怒濤(どとう)の代打攻勢で逆転勝ちをもぎ取った。0―1と1点を追う7回。中嶋聡監督(54)が代打を矢継ぎ早に投入。代打の中川圭太内野手(27)の左翼線2点適時二塁打で勝ち越した。今季52試合目にして早くも50通り目となるオーダーを組むなど変幻自在。指揮官の用兵と采配の鋭さで首位ロッテにゲーム差なしと迫った。

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鋭い打球が左翼線を襲った。1-1と同点に追いついた7回2死満塁の場面。中嶋監督がこの回3枚目となる代打のカードを切った。山崎福に代わって打席に立った中川圭は、中日山本の初球151キロをひっぱたいた。殊勲打の中川圭は「甘い球が来たらとりあえずスイングしていこうかなと思いました」。走者2人が生還する適時二塁打で勝ち越しに成功した。

勝負をかけた代打攻勢が奏功した。0-1で迎えた7回1死一、二塁。5番の杉本に代えて代打森を投入した。森は中飛に倒れたが、続く紅林の場面でも代打ゴンザレスを打席に送り、左前適時打でまず同点。野口が四球で満塁とすると、中川圭を送り込んだ。中嶋監督は「俺、なんもしてないですよ。打ったのは選手ですし」と話すが、采配がズバリ的中した形だ。

セ界の首位を走る岡田阪神とは対照的だ。今季52試合目にしてこの試合が50通り目となる日替わりオーダー。今季初めて捕手若月を2番に置き、打撃のいい投手山崎福は8番に据えた。中川圭は右足の状態が思わしくなく2試合連続のベンチスタートだった。「(疲れなどは)今が一番ピークっちゃ、ピークかもしれないところに来てる」。打順固定にこだわらない。選手の状態を見極めながらその試合のベストを導き出す。

「替えられたやつが、どうなんや? ということにはなる。そういうところでは競争意識ですね。欲しくなるでしょう、結果が。どんどんどんどん。それはいいことだと思う」。中嶋監督はそう言うと、大きくうなずいた。12球団屈指の選手層と競争意識。さらに指揮官の用兵術と采配力。首位ロッテを猛追し、追い越すのは中嶋オリックスしかない。【桝井聡】