オリックス宮城大弥投手(21)が自身3度目、今季2度目の完封で5勝目を挙げた。中日打線をわずか2安打に抑え、二塁も踏ませぬ好投。1学年下の高橋宏との侍対決を制し、防御率1・68とリーグトップに浮上した。チームは4カード連続勝ち越しでパ・リーグ30勝一番乗り。5月16日以来、19日ぶりのリーグ首位に躍り出た。

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スコアボードに9個目のゼロを並べた。9回2死走者なし。最後の打者鵜飼をこの試合108球目となるフォークで空振り三振に仕留めると、小さくこぶしを握った。「いい球もいっていたし、低めに投げたいところに投げられた」。侍ジャパンでも仲良しの高橋宏が7回無失点と好投も、それを上回る貫禄ピッチだった。

21歳が老練とも言える投球だった。150キロに迫る直球と86キロのスローカーブ…。全球種を低めに集めて中日打線を手玉に取った。5回2死から6番福永に内野安打を許すまで完全投球。10奪三振、無四球で二塁すら踏ませぬ内容に、宮城自身も「いろいろ試せたというか、いろんな球で勝負できた」と納得顔だ。

試合中は鉄仮面を貫いたが2度、本来の宮城スマイルを見せた。1度目は高橋宏が1打席目に立った3回。宮城が本拠地で使用するBEGINの「三線の花」が突然、流れた。健闘をたたえ合うような後輩からのサプライズに思わずニンマリ。4点をリードした8回の自身の打席では、2死一、三塁からプロ初打点&初タイムリーとなる左前適時打。「バットに当たって良かった」と、こちらは大はしゃぎだった。

チームは首位ロッテが阪神に敗れたため、19日ぶりに首位に返り咲いた。投打でチームをけん引した左腕は、同学年のロッテ佐々木朗が敗戦投手になったことを知ると「そうなんですか? でも彼はスゴイ投手なので(自分も)頑張りたいと思います」。盤石の投球で防御率はリーグトップの1・68に浮上。今やリーグを代表する左腕だが、慢心はまったくない。【桝井聡】

 

▼オリックス宮城が交流戦で初完封。オリックス投手の交流戦完封勝ちは、12年5月22日阪神戦の金子以来11年ぶり。21歳9カ月での完封は06年6月3日ヤクルト戦の平野佳(22歳2カ月)を上回り、交流戦での球団最年少完封になる。また、交流戦でパの投手が自ら打点を挙げての完封は06年5月19日広島戦の八木(日本ハム=コールドで投球8回)、15年6月4日DeNA戦の武田(ソフトバンク)に次いで3人目。

 

▽オリックス頓宮(3安打の猛打賞。打率3割3分8厘でリーグトップをキープ)「センター中心に打っていくことを考えて。毎日同じことを意識してそれがいい方向にいっている」