虎の守護神問題が解決しない…。阪神が9回2死から痛恨の逆転負けを食らった。「日本生命セ・パ交流戦」ソフトバンク戦で1点リードの9回2死一、二塁から岩崎優投手(31)が中村晃に逆転2点適時二塁打を浴びた。本来のクローザー湯浅が2軍調整中。今季2度目の3連投となったベテラン左腕も打ち込まれた。交流戦は1試合を残し負け越しが決定。2位DeNAが勝ち、3ゲーム差に迫られた。

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「あと1球! 」コールが悲鳴に変わった。今季最多4万2635人を飲み込んだ甲子園。1点リードの9回2死一、二塁。中村晃にファウルで粘られ、7球目に投げた岩崎のスライダーを左中間に運ばれ逆転を許した。岩崎は今季2度目の3日連続での登板だった。岡田監督は「今日までやったから。『最後1日、頑張れ』言うたけど、うーん」と、頼れるベテランの3連投に託したが、まさかの展開だった。

今季初黒星となった岩崎は「しっかりやり返せるようにやります」と唇をかんだ。15日オリックス戦でクローザー湯浅が2被弾で逆転負け。そのまま2軍に降格した。岩崎が代役守護神を任されているが、またも待っていたのは悲劇の結末。交流戦ラストの18日ソフトバンク戦は岩崎の4連投は回避の予定。指揮官は「そら(岩崎以外で)いく。明日はな。あと1試合やな。(先発の)才木に頑張ってもらうわ」と、投手陣の復帰を促した。

岡田監督が一番悔やんだのは7回に2番手及川が代打野村勇に1点差に迫られる2ランを許した場面だった。「あの2ランがなあ、余分やった。投げミスやろ」。2死から四球で走者を出しての1発は、捕手が低めに要求した直球が高めに浮いた。ソフトバンク打線は左が多いため、「今日は最初から及川でいくつもりやった」と話すようにプラン通りの継投策だったが、想定外の1発だった。

1試合を残し交流戦の負け越しが決まった。最低限の目標だった交流戦5割は達成できず、この日勝った2位DeNAとの差は3差まで縮まった。交流戦で湯浅が3度、この日の岩崎と4度のセーブ機会で失敗したことが響いている。この日石井が5月11日ヤクルト戦以来の1軍マウンドに帰ってきた。加治屋、岩貞、K・ケラー、浜地ら8人のブルペン陣で、必死に逃げ切るしかない。守護神不在でグラつくブルペン。リーグ戦再開後も、岡田阪神の悩みの種となる可能性がある。【石橋隆雄】

▽阪神交流戦での抑え失敗

◆6月3日ロッテ戦 

5-2と3点リードで湯浅を投入。ところが木浪と中野の失策に3長短打をからめられ、あっという間に追いつかれた。延長11回小幡のサヨナラ打で辛勝。

◆同8日楽天戦 4-3と1点リードで迎えた9回裏。この回から登板の湯浅は、2四球で2死一、二塁のピンチを招く。ここで小深田に、右翼へ逆転サヨナラ3ランを運ばれた。

◆同15日オリックス戦 2-1と1点リードした9回表に、湯浅を投入した。1死後頓宮に、2死後には杉本にソロ本塁打を打たれ、ひっくり返された。マウンドでしゃがみ込んだ湯浅は、2軍降格が決定。

 

◆阪神救援投手の3日連続登板 今季阪神の3日連続登板は今回が3度目。岩崎が開幕カードの3月31日~4月2日DeNA3連戦に登板。岩崎は1、2戦こそ打者計5人に1被安打無失点だったが、3戦目に打者4人に2被安打1四球と乱れ、2点を許した。また、加治屋は5月12~14日のDeNA3連戦に投げ、計1イニング1/3を無失点。開幕から極端な連投はない。

 

○…木浪に、ヒヤリとするシーンがあった。4点リードの5回無死一塁。ソフトバンク栗原の強い当たりが遊撃右へと飛んだ。飛び込んだが、ボールはグラブをはじき中前へ。起き上がるとしばらく動くことができず、トレーナー、平田ヘッドコーチが駆けつける事態となった。左肩を気にする様子もみられたが、プレーは続行。試合後には「肩は全然大丈夫です」と話した。

○…佐藤輝が惜しくも2戦連発を逃した。5回に中堅フェンスぎりぎりの大飛球を放ったが、風の影響もあり、本塁打ならず。それでも8回に右中間への二塁打を放つなどマルチ安打。「(風は)仕方ないです。明日勝てるようにがんばります」。4戦連続安打と調子を上げている。

○…坂本が2安打2打点と気を吐いた。2回1死一、三塁でスクイズに成功(記録は内野安打)。4回には左翼線への適時二塁打を放った。しかしチームは逃げ切れずに逆転負け。「1個勝つって大変だなと思います。でも構えたところに投げてくれて打たれたので、僕が悪いと思う」と責任をかぶった。

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