日本ハム万波中正外野手(23)が、「日本生命セ・パ交流戦」DeNA戦の10回、相手守護神の山崎康晃投手(30)からリーグ単独トップの13号決勝弾を左翼席へ運んだ。4連勝で交流戦を締めたチームは、18年以来、5年ぶりの交流戦勝ち越し。23日のリーグ戦再開へ向けて、弾みをつけた。

敵も味方も、ない。万波にとって「ハマスタ」は敵地でありながら、ホームだった。相手は、交流戦優勝がかかるDeNA。3-3で決着は延長戦へ。10回1死。マウンドには山崎康がいた。「狙い球をしっかり絞って、落ちる球メインで待っていた」。カウント2-1からの4球目。狙い通り、落ち球をフルスイングで捉えた。「相手チームのクローザーから打つって価値があることだと思うので、すごくうれしい」。左翼席に着弾した弾丸ライナーに、新庄監督も「ああいう場面で打てるっていうことは、実力があるってこと」と満足そうだ。

東京生まれだが、野球ファンにとっては「横浜高の万波」の方が、なじみ深い。高校時代の公式戦第1号も、ここ「ハマスタ」だった。高1の夏に電光掲示板下の看板を直撃する推定135メートル弾を放ち、一躍、高校球界注目のスラッガーになった。この日、勝ち越し弾の後、右翼の守備位置に就くと「なんか、めちゃめちゃ話しかけてくれて。ライトスタンドから」と、ニコニコ。「めちゃめちゃバッティングを褒めてくれたりして。皆さん、笑顔で手を振ってくれます。温かいな~と。僕1人だけアウェー感をあまり感じずに出来ました」。「耳割れしそうになるくらい」だった相手の応援も、心地よかった。

新庄監督から「4番だね。ヨシ、行くぞ!!」と言われた万波は、もちろん「意気に感じた。プレッシャーと同時に高揚感も感じて、毎日、試合に臨めている」。成長中の4番の1発で、チームは最終戦で交流戦勝ち越しを決めた。新庄監督は「こういう戦い方をしていけば、だんだん(上位3チームとの)差が縮まっていく。今日は(選手の)背中が大きく見えました」とパ4位からの巻き返しへ、自信を深めた。【中島宙恵】

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