6連敗中がウソのように、ヤクルト打線が大爆発した。13得点を挙げ、10点だった今季最多得点を更新した。

試合前時点でチームの得点圏打率が2割と12球団ワースト2位だった燕打線が、初回から目覚めた。

2死一、二塁、5番ホセ・オスナ内野手(30)が楽天先発藤平の149キロ直球を左翼席へ12号3ランで4試合ぶりの先制。「しっかり自分の狙いを絞って、一振りで仕留めることができた。最近、ミスショットしないことを意識している。ミートできてそれがスタンドまで飛んでくれて良かった」と狙い通りのバッティングだった。

さらに2死一塁から内山壮真捕手(20)が5月20日DeNA戦(横浜)以来、1カ月ぶりとなる左翼席への4号2ランで初回に5得点を挙げた。

内山は早出で杉村打撃コーチとティー打撃を実施。「僕が苦しんでいる時に杉さんから言ってもらえた。その中で修正や新しい発見があったのでそれが好調につながっている」と語った。

この流れを引き寄せたのはこの日、今季初昇格&初登板だった先発の金久保優斗投手(23)だった。4回を無安打無失点と好投。6点リードの3回1死満塁では、楽天3番手の津留崎から左前適時打を放ちプロ初打点を挙げた。

金久保は「連敗が続いていたので自分で流れを変えたいと思って投げて、無安打でヒットも打てて、この点差で勝てたことはうれしい」と大満足の結果だった。

高津臣吾監督(54)は楽天との交流戦最終戦に向け前日の19日、自宅で熟考していた。

「昨日1日、今日の藤平投手にどうやったら点が入るんだろう。(打順を)どういう組み合わせで、どう並べたら点になるんだ、というのをずっと昨日考えながら、家にいました」

その成果が見事に出た形。「もちろんプレーしたのは選手でね。先頭が出て、2アウトになってもそこから先制することができたし、その後の中押しであったり、金久保のピッチングであったり、100点に近いゲームだった」と、リーグ戦再開へ弾みとなる試合となった。

昨季優勝だった交流戦を7勝11敗で終え「うまくいかなかったという表現が一番合うかもしれない」と、かみしめるように言った。監督自身も悩み、苦しみ「いろんなイメージはするんですけど、その中でも打つ方も投げる方も、うまくいかなかったかなと」と振り返る。

それでもこの日の試合は重要だった。「今日のゲームを勝って交流戦を終わりたいと。いい交流戦ではなかったかもしれないけど、勝って終わりたいというのは伝えた。こうやってまた何かのきっかけをつくって週末のドラゴンズ戦にいい形で挑もうと思っていた」。残り78試合。何かを諦めるには、まだ早い。【三須一紀】

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