ルーキーが故郷でビッグイニングの口火を切った。悪夢の14連敗も頭によぎった1点ビハインドの8回。流れを変えたのは、阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)の一振りだった。

この回から登板したセットアッパーの2番手伊勢に対し、1ストライクの2球目から3球連続ファウル。「何とか先頭で塁に出たいと思っていた。インコース詰まって落とすとか、何でもよかった」。5球目の132キロ、外角への変化球に食らいついた。

三塁線に弾んだゴロに全力疾走で一塁を駆け抜け、内野安打をゲット。ノイジーの同点打、木浪の勝ち越し打を呼び込む機運をつくった。5回にも中前打を放ち、今季7度目のマルチ安打で勝利に貢献だ。

「自分が出ることによって点にからむのは理想でもあるので。しっかり点にからめたのはよかったです」

横浜市出身のハマっ子にとって、横浜スタジアムは東海大相模時代に活躍した思い出の球場だ。

だが、プロでは苦い思い出が先行していた。4月16日に3三振して20打席無安打に陥ると、翌17日に初の2軍降格。この日の試合前まで13打数2安打で、いいところを見せられていなかった。祖父母や両親もスタンドに招き、初めて3番で里帰りした一戦。14連敗阻止に貢献した働きに充実感が漂った。

「普段見られない人たちも来てくれる機会でもあるので、打てたのはよかったです」。3番成績は9試合で打率3割1分1厘。悔しさも経験した地元で、大きく成長した姿を見せた。【波部俊之介】

■DeNA東撃ち適時打

阪神坂本が先制打を放った。4回2死二塁、DeNA東の144キロを捉え、左前打。6月17日ソフトバンク戦以来の適時打となり「先に点を取ることができてよかった」と胸を張った。東には前回6月24日の対戦で9回完封負けを食らっており、今季13イニング目で「虎キラー」の左腕からチーム初得点。「強い真っすぐを投げる投手なので負けないようにと考えていた」と対策が生きた。