西武ディートリック・エンス投手(32)が約4カ月ぶりの白星とはならなかったが、楽天打線を5回1失点に封じる好投を見せた。

何度もピンチを背負った。立ち上がりから楽天打線に連打を許し、5イニング中4イニングで、走者を二塁に置いての投球だった。しかしホームを踏ませたのは2回1死三塁、楽天フランコを詰まらせるも右前にポトリと落とされた適時打の1点のみ。3回2死では4番浅村に対して150キロ直球で3球三振に仕留める気迫を見せた。7安打を浴びながらも1失点の粘投に「古賀の良いリードとバックの守備に助けてもらったね」と野手陣への感謝を口にした。

5月20日に生まれた第1子となる長女に白星をプレゼントできる日を待ちわびている。米国に一時帰国したが飛行機の関係で出産の瞬間には立ち会えなかった。出産から約10時間後に駆け込んだ病室では、妻に抱っこされた愛娘を見て「言葉に表せないくらいの感情でした」と忘れられない瞬間を振り返る。今日は長女の名前「POPPY」をピンク色で親指部分に刺しゅうしたグラブを1軍で初使用。投げるたびに右手のグラブを握りこんだ。

昨季は10勝を挙げるも、今季は1勝8敗と振るわず。白星は4月16日日本ハム戦(エスコンフィールド)から遠ざかっている。しかし愛娘にささげる勝利に向けて光が見えた。「何よりも2人が来日してくれることをすごく楽しみに待っています」と妻子の来日予定に声を弾ませる左腕がチームのため、そして愛娘のために全力で腕を振る。【黒須亮】