オリックスのエース山本由伸投手(25)が、7回5安打無失点で両リーグトップの12勝目を挙げた。リーグ2位のロッテ種市に2勝差をつけ、最多勝争いを快走だ。「ランナーを出しながらのピッチングになったけど、相手投手も粘り強く投げていたので、負けないように投げました」。相手先発は同い年で、16年夏の甲子園で作新学院を全国制覇に導いたV腕の今井。98球の力投で粘り勝った。

初回は3者凡退でスタートしたが、本調子とは言えなかった。状態を自覚し、バッテリーを組む若月といつも以上にイニング間に話し合った。「めちゃくちゃいい感覚ではなかったので、ボールの感じとかを確かめながら、その先の配球のこととかを話し合いました」。得点圏に走者を背負ったのは4度。7回無死一、二塁のピンチでは、直球、スライダー、シュートと異なる決め球で後続3人を断った。密なコミュニケーションが生きた。

引き分けを挟んで今季4度目の5連勝。最短25日の優勝マジック点灯へ、好調投手陣がバトンをつないでいる。6試合連続の1失点以下は、阪急時代の1956年(昭31)6月13日の東映戦から6月19日の毎日戦でマークして以来、球団67年ぶりの快記録。「1人1人が必死にやってますし、その中でシーズンを楽しんでできています」。その中心にいる山本は今季18試合中13試合で1点以下。驚異の安定感が光るエースを、敵地ながらカブスら大リーグ10球団以上が視察した。

リーグトップの勝利数、防御率とともに奪三振数も128となり、1位のロッテ種市まであと2と迫る。「1日1日を大事に頑張りたい」と17日に誕生日を迎えたばかりの25歳。優勝争いの終盤になって、すごみを増してきた。【磯綾乃】

▽オリックス頓宮(7回1死三塁で2点目の適時打)「由伸(山本)が頑張って投げてくれている中で、なかなか点が取れていなかったので、なんとか打ててよかったです」